PR
写真●SAPジャパンの馬場渉バイスプレジデント クラウドファースト事業本部長
写真●SAPジャパンの馬場渉バイスプレジデント クラウドファースト事業本部長
[画像のクリックで拡大表示]

 SAPジャパンは2013年8月27日、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)型ERP(統合基幹業務システム)製品「SAP Business ByDesign」を発表した。11月に提供を開始する予定だ。同社製ERPを中核とするオンプレミス製品「SAP Business Suite」を本社に導入し、国内外の拠点でBusiness ByDesignを利用するという2層型グローバルシステムの実現を支援する。

 Business ByDesignはクラウド環境で利用するERP。財務会計・管理会計、販売管理、購買管理、生産管理、人事、サプライチェーン、ロジスティクスなどを支援する35のビジネスシナリオを提供。SAP ERPとの連携を想定して、「マスターデータの配信」「給与支払いの集約」「財務報告・業績管理」など八つのシナリオを用意している。ほかに分析・レポート機能を備え、iOSやAndroidを搭載したスマートフォンやタブレットからも利用できる。

 同社はクラウドサービスの稼働環境をインメモリーデータベース「HANA」を利用した基盤「SAP HANA Cloud Platform」に統一すると発表済み(関連記事:「全てのサービスを日本で提供」、SAPジャパンがクラウド事業に本格参入)。Business ByDesignに関しても「1社の例外なく、HANA Cloud環境で利用できる」と、馬場渉バイスプレジデント クラウドファースト事業本部長(写真)は話す。

 今回提供するBusiness ByDesignは日本語版で、「税法を含む日本の商習慣にも対応している」(馬場本部長)。Business Suiteとの違いについて、馬場本部長は「Business Suiteはとてつもなく巨大なアプリケーションで、コードは4億行に上る。Business ByDesignは3000万~4000万行と、規模は10分の1。業種固有の機能や販売管理・生産管理などのきめ細かな機能はBusiness Suiteのほうが充実している」と話す。一方で、「一般的に見るとBusiness ByDesignも巨大であり、業務のカバー範囲や機能の深さなどは十分ある」と説明する。

 月額利用料は1ユーザーあたり149米ドル(約1万5000円、すべての機能を利用する場合)。既に欧米や中国、インドなど16カ国で提供しており、日本は17番目となる。全世界には約1000社の導入実績があり、「うち10社は日本企業」(馬場本部長)。平均ユーザー数は40~50人程度だが、「8000人規模の利用例もある。導入金額も数百万円から、オーストラリアでは13億円規模のプロジェクトもあった」(同)。

 独SAPはもともと、Business ByDesignを中堅企業向けの製品と位置付けていた。SAPジャパンは当面、SAP製品を本社で使う企業向けに「グローバルシステムの2層目」として販売していく。「グローバルのM&A(合併・買収)や新興市場へのビジネスを展開している企業の多くは、ガバナンスを考慮した海外拠点のシステムの整備にまで手が回っていない。これまで有効な選択肢がなかったからだ。まずはここを徹底的に攻めていきたい」と馬場本部長は話す。ゆくゆくは、全社レベルの基幹系刷新といった需要も狙っていく考えだ。

 独SAPがBusiness ByDesignを発表したのは2007年(関連記事:「当社として初のSaaS形式」、独SAPが中堅企業向け新ERP「SAP Business ByDesign」を発表)。日本では当初、2008年ごろの提供開始とみられていたが、結果的に発表から6年越しの登場となった。この点について、馬場本部長は「非常に良いタイミングとなった」と話す。「数年前はCIO(最高情報責任者)に『基幹系をクラウド環境で利用したいか?』と尋ねても、『利用したい』という人はいなかった。今ではその考え方は変わった。技術面でも、もっと早く出していたら一時代前のクラウドになってしまう可能性があった」(同)とする。