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 日本版IFRS(国際会計基準)、J-IFRSなどと呼ばれる「エンドースメントされたIFRS」の策定に向けた作業が始まった。日本の会計基準設定主体であるASBJ(企業会計基準委員会)は2013年8月27日、IFRSのエンドースメントに関する作業部会の第1回会議を開催。今回を含む4回の会議を通じて、IFRSを構成する基準の中で「検討が必要な項目の候補」を抽出していくとした。

 エンドースメントされたIFRSは、IFRSそのもの(ピュアIFRS)を構成する基準一つひとつを検討し、必要に応じて削除または修正したものを指す。金融庁が6月19日に公表した報告書「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」でIFRS任意適用促進策の一つとして示した(関連記事:「強制適用の判断見送り、我が国に適したIFRS策定」、金融庁が報告書)。

 報告書では「ASBJにおいて速やかにエンドースメントの検討が行われることを期待する」としており、これを受けてASBJは7月10日に開催した第268回委員会で作業計画案「IFRSのエンドースメント手続に関する計画の概要(案)」を提示。作業部会を設置し、約1年をかけてエンドースメントされたIFRSを策定していく方向を示した(関連記事:「J-IFRS」の検討は2014年秋をメド、企業会計基準委員会が作業計画案を提示)。さらに7月25日に開催した第269回委員会で、作業部会のメンバーを決定した(関連記事:ASBJが「J-IFRS」作業部会メンバー公表、日立や新日鉄住金など参加)。

4回に分けて検討項目の候補を洗い出す

 作業部会第1回会議では、4回に分けて「検討が必要な項目の候補」を抽出していく方針を示した。作業の対象は以下の通り。

第1回:有形固定資産、無形資産、リース、収益、棚卸資産、法人所得税、外国為替レート等、表示他(1)
(IFRS 5 IAS 2、11、12、16、17、18、20、21、23、29、33、34、36、38、40、41 IFRIC 1、4、13)

第2回:従業員給付、引当金他、表示他(2)
(IFRS 2、4、6 IAS 1、7、8、10、19、26、37 IFRIC 14)

第3回:連結、企業結合他、解釈指針、財務諸表注記(1)
(IFRS 3、10、11 IAS 27、28 IFRIC SIC)

第4回:金融商品他、初度適用、財務諸表注記(2)
(IFRS 1、9、13 IAS 32、39)

 各分野でIFRSと日本の会計基準(日本基準)を比較し、「修正することなしに採択可能か否か」という観点から検討項目を洗い出す。第1回から第4回までの会議で洗い出した検討項目に関して、「削除や修正が必要か」「ガイダンスや教育文書などを追加する必要があるか」などを議論するという流れになる。

 今回の会議ではこのような全体の流れを確認して、第1回の議論に移った。ASBJは部会メンバーに対し、あらかじめ資料を配布。資料では、対象範囲におけるIFRSと日本基準の比較とともに、「検討が必要な項目の候補」となりそうな項目を「*(アスタリスク)」で示した。

 *は「基本的な考え方」「実務上の困難さ」「制度との関連」のどこに該当するかを示す。例えばIAS 16(有形固定資産)では、「耐用年数」について「実務上の困難さ」と「制度との関連」の二つに*が付いた。*が付いた項目について、資料には「IFRSは経済的耐用年数だが、我が国では税法耐用年数の使用が多い」といった説明を付与している。