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 米国家情報長官室は2013年9月6日(米国時間)、英ガーディアン紙や米ニューヨークタイムズ紙などが5日(同)に行った「米英政府はインターネットの暗号化通信を解読可能(関連記事)」という報道に対して、「NSA(米国家安全保障局)が暗号化通信の解読に取り組んでいることは秘密でもニュースでもない」などとする声明を発表し、これらの報道を「米国と同盟国の安全を脅かすもの」などと非難した。

 ガーディアンやニューヨークタイムズのサイトに掲載されている、エドワード・スノーデン氏がガーディアンに提供したという秘密文書によれば、NSAは米国内外のITベンダーに働きかけたり、公開鍵暗号などの標準化に影響力を行使するなどして、「HTTPS」や「SSL」などの暗号化通信に使う商用ソフトウエアやネットワーク機器などに、NSAが情報を収集するのに使用する脆弱性、つまりバックドアを設けているという。また、ピア・ツー・ピア方式の音声通信ソフトや、半導体チップを使って暗号化しているVPN(仮想私設網)などの通信も解読できるようにしているとする。このほか、ガーディアンやニューヨークタイムズは、NSAやGCHQ(英国政府通信本部)が、大手ネット事業者のサービスの通信を解読する方法を開発しているとも報じている。

 これらの報道に対して米国家情報長官室は、「情報機関が、米国の敵対勢力による暗号化の利用を無力化しようと努力していることは、まったく驚くべきことではない。歴史を通して、国家は国家機密を守るために、暗号化を使用してきた。今日は、テロリストや犯罪者集団、人身売買組織などが、その行動を隠すために暗号化を使っている。これらの行動を無力化しなければ、情報機関は任務を全うすることができない」と、NSAなどの暗号解読を正当化する声明を出した。

 同声明では加えて、「その詳細は秘密とされていたが、NSAのミッションの中に暗号解読が含まれている事実は秘密でもニュースでもない。実際にNSAのWebサイトにも、米国と同盟国のために暗号解読を行う、と掲載されている」と述べている。

 ガーディアンやニューヨークタイムズなどが5日に行った報道に関しては、「米国政府が行っている重要な情報活動に関する、特定の秘密とされていた詳細を明らかにしたものだ」と述べ、報道の内容は否定しなかった。その上で、これらの報道が「米国の敵対勢力に対して、米国と同盟国の安全を維持するために行っている、敵対勢力の通信を傍受する技術のロードマップを与えてしまった」と非難している。

 米国家情報長官のジェームズ・クラッパー氏は2013年8月21日(米国時間)から、NSAが外国諜報監視法(FISA)の下に行ってきた情報収集活動に関する情報の一部を、インターネットの情報共有サイト「Tumblr」で公開している。前述のODNIの声明は、このTumblrのサイトで発表した。