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写真●左:ヤマトホールディングスの小佐野豪績氏(経営戦略 IT執行役員)、右:ファミリーマート三澤健司氏(執行役員 システム本部 システム開発部長)
写真●左:ヤマトホールディングスの小佐野豪績氏(経営戦略 IT執行役員)、右:ファミリーマート三澤健司氏(執行役員 システム本部 システム開発部長)
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 2013年10月9日から東京ビッグサイトで開催中のICT総合展示会「ITpro EXPO 2013」の会場内で、「ビッグデータ、その可能性と課題」をテーマにしたパネルディスカッションが実施された(写真)。

 登壇したのは、ヤマトホールディングスの小佐野豪績氏(経営戦略 IT執行役員)とファミリーマートの三澤健司氏(執行役員 システム本部 システム開発部長)。日本を代表する企業のIT部門トップが交わす議論とあって、立ち見が出るほどの満席となった

 テーマに挙げられた二つのキーワード「可能性」と「課題」のうち、議論が盛り上がったのは課題の方。ヤマトホールディングスの小佐野氏が、パネルディスカッションの開始早々から、「こういった公の場で、我が社がビッグデータをどう活用しているのかを話すことに、非常にナーバスになっている」と発言するほどだった。

 小佐野氏がナーバスになっているのは、ビッグデータに個人情報が含まれていたり、個人の行動履歴が含まれていたりするからだ。同氏は、「もちろんセキュリティは重要。だが、システムの堅牢性や利用者教育を徹底するだけでは不十分。ビッグデータを活用して顧客サービスの向上を図ったつもりが、逆に“気持ち悪い”と感じてしまう顧客に、どう対応するのかも考えなければならない」と指摘する。

 ファミリーマートの三澤氏は、ビッグデータを活用した結果を顧客がどう捉えるのか、一例を示した。「小佐野さん、お好きな飲み物は何ですか?」とたずねると、小佐野氏は「(緑茶の)綾鷹です」と答えた。三澤氏は「では、小佐野さんが九州に出張して現地のファミリーマートを利用されました。会計のときに店員から“一緒に綾鷹もいかがですか?”と言われたら、どう感じますか?」

 自分の知らない土地、自分が初めて訪れた店で、自分の好きな飲み物を勧められるという状況に、“気持ち悪い”と感じる顧客は少なからずいるだろう。三澤氏は、ビッグデータを活用して、もう一品を購入してもらいたいとき「どうアプローチするのかまでを検討しておく必要がある」と指摘する。

 とはいえ、サービスが向上したと捉える顧客もいるはず。企業がビッグデータを活用した結果をどう捉えるかは、人それぞれということになる。このため小佐野氏は「公共機関にお墨付きをもらった企業であれば、顧客も安心してサービスを受けられる。ビッグデータを正しく安全に活用している企業には、公共機関がお墨付きを与えるといった仕組みが必要ではないか」と提案した。

 三澤氏も、小佐野氏の提案を支持する。「個人情報保護法の内容はもう古くなっている。再定義すべき時期に来ているのではないか」と指摘する。小佐野氏は「ルールを明確にしてもらわないと、企業も安心して使えない。そういう時期に来ている」と、三澤氏の発言に応えた。

 パネルディスカッションでは、ほかにも「データサイエンティストの必要性」「事業部門とIT部門の役割分担」「ITベンダーに期待すること」について議論された。データサイエンティストについては、両氏とも「まだ社内にはいないが、ビッグデータの活用には必要」との認識で一致する。どのようにしてデータサイエンティストを育成するかも、ビッグデータの活用に向けて企業が取り組むべき課題の一つと言えそうだ。