PR
写真●一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏(撮影:後藤究)
写真●一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏(撮影:後藤究)
[画像のクリックで拡大表示]

 「経営にセンス(芸術的才能)が必要なのは本当は誰もが分かっている、ただ、センスはスキル(担当業務の遂行能力)と違って育てられない。経営にできることはセンスのある人を見極めて、見続けること」---。

 2013年10月10日、著書『ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件』(東洋経済新報社)で知られる一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏が、「ITpro EXPO 2013」での特別講演で「戦略を創るセンス」をテーマに登壇した。

 楠木氏は冒頭で、企業の競争戦略の本質について「競合他社との違いをつくること」と語った。さらに「大切なのは個々の違いをストリーとしてつなげること」とし、日本マクドナルドの原田泳幸前CEOの事例を挙げた。

 原田氏はCEOに就任した当時、落ち込んでいた売り上げを取り戻すため、山積する課題の中からまず基礎を重視し、味の向上に注力した。それまでの作り置きを廃止し、注文が来た時点で調理するシステムを全店で一斉に導入。そして、次の段階として100円バーガーを投入した。

 楠木氏によると「100円バーガーの投入を2番目に持ってきたのがポイント。100円と聞けばお客は一度は食べてもいいと思うし、期待もしていない。ところが、味の向上により意外とおいしいと思ったお客がもう1回来たり、口コミを広げたりして客足が増えた」。

 客足が増えてきたところで第3段階として、エビフィレオやクオーターパウンダーといった本格的な昼食の新メニューを販売。しばらく店舗に足を運んでいない人たちには、メガマックなど話題性重視の限定メニューを打ち出して気を引いた。体力がついてきたところで、ようやく不採算店舗の一斉閉店を実施。最終的に来店客数と客単価の双方を高めた。

 「原田氏が投入したメニュー自体は既に米国であったもので、個々の方策自体も飛び道具や必殺技は無い。肝心なのは、それぞれの方策を1つの流れの中でつなげること」と語った。