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 著作権関連の85団体は2013年11月14日の会見で、現行の私的録音録画補償金制度に代わる新たな補償制度について提言を行った。

 同制度のうち私的録画補償金制度は、デジタル放送専用録画機(つまりアナログ放送は録画しない装置)の補償金を期限までに支払わなかった東芝を相手取って起こした訴訟の原告である私的録画補償金管理協会(SARVH)の上告を棄却した2012年11月の最高裁判所の決定により、「ほぼその機能を停止してしまった」(日本芸能実演家団体協議会の常務理事を務める椎名和夫氏)という。一方の私的録音補償金制度も、ピーク時の4~5%程度にまで落ち込んでいる。

2013年における私的録画補償金の徴収額はゼロ円に

 徴収額の推移を見ると、私的録画補償金ではデジタル放送専用録画機が制度の対象にならないと判断されたことから、2013年には徴収額がゼロ円となった(前年比5億7300万円減)。私的録音補償金は音楽用CD-Rなどの需要が下支えしているものの、9400万円(同2億4100万円減)にとどまった。

 こうした状況の中で、文化審議会の著作権分科会 「法制・基本問題小委員会」に「著作物等の適切な保護と利用・流通に関するワーキングチーム」が設置されるなど、「補償金問題の解決に向けて取り組む環境が徐々に整いつつある」(椎名氏)という。著作権関連の85団体はこの機会をとらえて、「ユーザーの利便性向上に配慮しつつ、クリエーターの適切な対価の還元を実現するための新たな考え方について提言を行うことにした」と説明した。

 今回、著作権関連85団体による新たな補償制度創設に関する提言は二つである。その内容は、(1)補償の対象は私的複製のために提供される複製機能とする。機器、媒体、サービスの別は問わない、(2)新たな補償の支払い義務者は複製機能を機器、媒体、サービスなどの手段で提供する事業者とする――である。今回の提案について、日本音楽著作権協会(JASRAC)の理事長である菅原瑞夫氏は、「著作権法第30条で認められている私的複製の権利の尊重と、デジタル化によって高品質のコピーが可能になった中での権利者への補償をバランス良く両立するという趣旨」と説明した。

 現行の補償制度では、補償金の支払い義務者は、私的複製を行うことができる機器や記憶媒体を購入する消費者である。メーカーは、補償金の請求および受領に協力する「協力義務者」という立場である。今回、著作権関連85団体が提言する新たな補償制度は、「私的複製に使う機器や記憶媒体のメーカーに加えて、サービス事業者も補償制度の対象にする」「支払い義務者を消費者ではなく事業者とする」という点で既存制度と異なる。

 説明終了後の質疑応答では、新たな補償制度の対象となるサービスは、クラウド型サービスなのかという質問が出た。「クラウド型サービスといっても色々なものがある。このうちオンラインで複製機能を実現しているものが対象になる」(椎名氏)、「サービスの中には従来の許諾契約で処理できるものもある。許諾契約では対応できないものについて、新たな補償制度で処理することになる」(日本レコード協会の理事の畑陽一郎氏)と回答した。

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