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 米国家安全保障局(NSA)が収集できる米国人の通話記録は考えられているほど大規模ではないようだ。複数の米メディア(Washington PostWall Street JournalNew York Timesなど)が現地時間2014年2月7日に報じたところによると、政府の大規模監視活動では米国人のほぼすべての通話記録を収集しているとされてたが、実際のところ全通話記録の30%に満たないことが分かったという。

 2013年6月にNSAが米Verizon Communicationsに対して国内および国際通話に関するすべての情報を継続的に毎日提出するよう要請していたことが報じられ(関連記事:米国家安全保障局がVerizonユーザーの全通話記録を収集、英紙が報道)、それ以来、政府は米国民の全通話記録を取得しているとの認識が広まった。

 しかし当局の現職員および元職員から得た情報によれば、2006年の時点ではほぼ100%の通話記録を収集していたものの、2013年夏には30%を下回っている。20%またはそれ以下と伝えているメディアもある。

 収集率が低下した要因は、爆発的に拡大する携帯電話の普及速度と、急増する大規模データベースの処理にNSAが追いついていけないためだという。

 NSAの通信情報収集プログラムは、2001年9月11日の同時多発テロ後に裁判所や米国議会の承認なしに立ち上げられ、2006年に裁判所の監督下となった。当時は固定回線を対照にしていたが、その後固定回線の利用は激減し、代わりに無線通信の利用が急拡大した。

 情報筋によるとVerizonのほか、米AT&Tや米Sprintが裁判所命令に応じて通話データを当局に提供しているが、たとえばVerizonの無線事業は命令の対象に含まれていない。

 しかし20%またはそれ以下だとしても、依然として収集される通話記録は1日あたり数百万件にのぼるため、テロ対策にとって有益な情報だと、当局者は主張する。NSAのRick Ledgett副長官は、「ゼロよりはましだ。ゼロなら可能性がまったく無いということだ」と、述べている。

 なお、NSAの監視活動を巡っては、既存の情報収集プログラムを終了し、第三者機関に大量メタデータを保存する方法に移行するなどの改革案を、政府が1月17日に提示している(関連記事:米政府、NSAの情報収集活動の改革案を発表)。