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パネリストの3人。左から、米TSensors Summit社のJanusz Bryzek氏、米University of California, San Diego校のAlbert Pisano氏、米Intel社のSandhiprakash Bhide氏
パネリストの3人。左から、米TSensors Summit社のJanusz Bryzek氏、米University of California, San Diego校のAlbert Pisano氏、米Intel社のSandhiprakash Bhide氏
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モデレーターを務めたSPPテクノロジーズの神永晉氏
モデレーターを務めたSPPテクノロジーズの神永晉氏
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 2014年2月20日に始まった「Trillion Sensors Summit Japan 2014~1兆個のセンサが医療/農業/建物/交通を覆う~」では、1日目の最終セッションとして、トリリオン・センサーのキーパーソンによるパネルディスカッションが行われた。企業に求められる姿勢、技術者の教育などさまざまなテーマが議論された。

 パネリストは、TSensorsの提唱者で米TSensors Summit社Chair(米Fairchild Semiconductor社VP, MEMS and Sensing Solutions)のJanusz Bryzek氏、米University of California, San Diego校(UCSD)工学部長のAlbert Pisano氏、米Intel社Senior Strategist and Technologist, Insights and Market ResearchのSandhiprakash Bhide氏。モデレーターは、SPPテクノロジーズのエグゼクティブシニアアドバイザー(前住友精密工業社長)の神永晉氏が務めた。

 パネルディスカッションでは、まず神永氏が近年のセンサー産業を振り返り、次に3人のパネリストにトリリオン・センサーが新たな産業として拡大していくために必要なことを尋ねた。この問いに対してBryzek氏が挙げたのは、「Exponentialな組織」という概念である。Exponentialは、「指数関数的な」という意味の形容詞であり、そこから派生して「急激な」「飛躍的な」といった意味も持つ。翻って、トリリオン・センサーも社会に行き渡るセンサーの数が指数関数的に増えていくというコンセプトである。こうした非直線的な変化に対応できる組織でなければ、10年後に消えてもおかしくはないと同氏は指摘する。

 Pisano氏は、教育の重要性に言及した。センサーの数が増えれば、これまでは計測していなかった物理現象も分析の対象になる。さらに、既存のセンサーは「病気になった」などの「状態」や「結果」を把握するという目的では十分に機能しているが、「なぜ病気になったか」という「原因」にたどり着くためのリサーチという意味ではこれから。そのためには、既に企業などで働いている技術者も新たなスキルを身に着けるための教育を受ける必要が出てくるという。

 Bhide氏は、トリリオン・センサーの時代を想定したユーザー・エクスペリエンス(UX)設計に触れた。1兆個のセンサーが社会の隅々まで行き渡った場合、それらを搭載した機器は非常に複雑なものになりかねない。しかし、たくさんのセンサーを搭載していても、使い勝手が優れていなければ、それらの機器は実際には使われなくなってしまい、コンセプトは絵に描いた餅となる。同氏がお手本に挙げるのは、米Apple社の「iPhone」だ。「誰が教えたわけでもないのに、1歳に満たない赤ん坊がさまざまな機能を使いこなしている」(同氏)。UXの専門家をチームに加えなければ、きちんと機能する製品やサービスを生み出せないという。

 全員の意見が一致したのは、トリリオン・センサーの実現に向けた議論を加速することだ。「大きなビジネスチャンスがあることは共有してもらえた。次は、実現に向けたプロセスを回すための議論が必要」(Pisano氏)。TSensors Summitを主催するBryzek氏によれば、今後はドイツのミュンヘンや米国のサンディエゴでフォローアップセミナーの開催を予定しているという。