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写真●NTTドコモ執行役員の栄藤稔氏(写真:行友 重治)
写真●NTTドコモ執行役員の栄藤稔氏(写真:行友 重治)
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 「既存企業だとしても、アジャイルな開発はできる。我々はそれを5人のチームで実践した。それを可能にしたのが、オーバーヘッドが少なくコーディングに集中できるパブリッククラウド環境だ」。満席の講演会場の来場者にこう呼びかけたのは、2014年3月6日と7日の両日、グランフロント大阪で開催されたITイベント「Cloud Days Osaka/ビッグデータEXPO/スマートフォン&タブレット/Security」のKEYNOTE講演に登壇した、NTTドコモ執行役員 研究開発推進部部長の栄藤稔氏である(写真1)。

 「モバイル&クラウドにおけるイノベーションへの挑戦と実践」を題した同氏の講演の中心は、ドコモが提供するエージェントサービス「しゃべってコンシェル」の開発ストーリーである。栄藤氏が講演冒頭「今日の発表は、個人の意見」とした通り、今回の発表は栄藤氏自身のサービス構築体験などに基づいた技術トレンドを示したものである。

 しゃべってコンシェルや「Siri」「Google Now」などのパーソナルエージェントサービスは、栄藤氏が「次のキラーアプリ」と目しているものの一つだ。つまり、膨大なデータがバックエンドで計算されていて未来を予測し、その結果を身近な端末を通じて通知してくれる世界である。最近話題の「Google Glass」についても、栄藤氏に言わせると「Glassがすごいのではなく、実はGoogle Nowがすごい」となる。

 しゃべってコンシェルのバックエンドには、米アマゾン データ サービスが提供するパブリッククラウドサービス「Amazon Web Services」(AWS)を使っている。しゃべってコンシェルがアマゾンのAWSを使っていることについては、2013年11月に行われたアマゾンのイベント「AWS re:Invent」の講演で発表された。「電話会社がパブリッククラウドを利用する」ことについては、イベント来場者にもインパクトがあった一方、多くの企業でありがちなように、ドコモ社内で少なからず抵抗があったという。

 一般に、パブリッククラウドの利用時には「セキュリティ」「性能」「切り替えコスト」の三つの懸念があるとされる。このうち、切り替えコストについては新サービスであるしゃべってコンシェルについては問題がなく、最も説明が必要だったのはセキュリティだった。材料を揃えて丁寧に説明していった結果、同社のセキュリティ部門も納得したのだという。「心情的に気持ちが悪いが、理屈では問題がない、というのが見解」とした。

 パブリッククラウドサービスとしてAWSを選んだ理由は、「デベロッパーのエコシステムが大きい」から。クラウド利用を前提に考えていたために、デザインパターンを選ぶなど「作法通り」のやり方を採れたことも大きかったようだ。

 パブリッククラウドが効果を発揮する場面は、一時的にコンピュータやネットワークのリソースが必要になる場面である。しゃべってコンシェルの場合には、テレビCMで紹介された瞬間がそれにあたる。同サービスの場合には、トラフィックが約30倍になることが分かっており、事前にCMの放映時間を調べてその10分前に30倍のインスタンスを立ちあげておき、15分後に落とすという処理をしている。

 講演の最後には、同氏が注目しているAPI(application programming interface)の動向が紹介された。最近の傾向として、シリコンバレーでは最近は「Apps Pertners Income」と言われるなど、アプリを通じてパトーナー企業にも利益をもたらすものととらえられており、ユーザーのデータを切り出すタイプのAPIから、クラウドの機能の一部を公開するタイプのAPIが増えているトレンドがあるとした。同氏の講演資料は、スライドシェア(http://www.slideshare.net/minoruetoh/r2-32020687/)で公開されている。