PR
写真◎ケンコーコムの後藤玄利代表取締役社長
写真◎ケンコーコムの後藤玄利代表取締役社長
[画像のクリックで拡大表示]

 「eコマース(電子商取引)市場全体が、利益よりも投資優先のパワーゲームと化している。マーケットリーダーであり続けるには、充実した品ぞろえ、しっかりしたサービス、どこよりも安い価格、の実現が必要。それを支えるクラウド環境は、当社にとってビジネスそのものだ」──。

 2014年6月18日、「Cloud Days 九州/ビッグデータEXPO/スマートフォン&タブレット/Security」のKEYNOTEにケンコーコムの後藤玄利代表取締役社長(写真)が登壇。「健康ECサイト『ケンコーコム』の軌跡と今後の成長戦略」というタイトルで、クラウド活用をはじめとする同社の取り組みと、ITインフラを生かした今後の事業戦略について講演した。

東日本大震災が「クラウドシフト」の大きなきっかけに

 健康関連商品のネット通販を主業務とするケンコーコムのクラウド活用の歴史は、2009年にさかのぼる。同社では「ITインフラをどうすべきかが、長い間、大きな課題となっていた」(後藤社長)。同社が扱う商品数は現在、約18万点。2009年の時点で11万点を超えていた。「一般のドラッグストアは数千点から1万点程度」(同)。

 「この商品を求めて、多くのお客様がサイトを訪れる」(同)。購入者数は毎日1万数千人を超えるという。このため「扱うデータ量の大きさが半端ない。通販サイトのページビューも多い」(同)。

 サイジングの問題もあった。「ある商品がテレビで紹介されると、突然アクセス数が跳ね上がる。こうしたアクセススパイクに対応するには、平常時でもITインフラのサイジングを過剰にせざるを得なかった」と後藤社長は話す。

 これらの問題を有効にハンドリングできるITインフラを、どうすれば実現できるのか。同社が着目したのはクラウドだった。「クラウドの出始めの頃から、積極的に使ってきた」(同)。

 2009年に、まだ日本では提供が始まっていなかったアマゾンのクラウドストレージサービス「Amazon S3」を商品画像のキャッシュ用途で利用開始。「クラウドサービスのほうが、はるかにコスト面でメリットが大きいと実感した」(同)。こうしてAWS(Amazon Web Services)に関する知見を蓄積していった。

 本格的にクラウドを採用するきっかけとなったのは、2011年3月の東日本大震災だった。それまで同社の本社機能やITインフラは東日本側に集中していた。しかし、震災以降は「BCP(事業継続計画)の観点からも一極集中は避けるべき、と痛感した」(同)。そこで物流拠点がある福岡に本社機能の一部を移転すると同時に、ITインフラのクラウド化を並行して実施。オンプレミス(サーバー設置型)環境で稼働していたWebシステムや基幹システムを、AWS環境(仮想サーバーサービス「Amazon EC2」)に順次移行していった。

 この移行に関して、「IT部隊は汗をかいて苦労していたが、経営の立場としては『短い期間で大きなトラブルもなく、スーッとクラウドに上がった』という実感だった。細かいチューニングは必要だったが、それ以外はほとんど問題はなかった」(同)。こうして50台以上のサーバーをクラウドに移行した結果、従来は月額900万円だったIT関連費用を3分の1の月額300万円に圧縮できた。サイジングの自由度も高まった。