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 オフィスで仕事中に,社内の人に電話をかける必要が生じた---。こんなとき,あなたはどんな行動をとっているだろうか。

 しばらく前のオフィスならば,デスクや部署にある電話機をおもむろに取り上げ,内線番号表を見ながら相手の部署に“内線”で通話するのが当たり前だったはず。逆に言うと,それ以外に連絡をつける手段はなかった。ところが,携帯電話/PHSが普及したことで,こうしたシーンが変わってきている。手元のケータイから相手のケータイへと,何の気なしに電話をかけてはいないだろうか。

 記者の周辺でも,こうした光景をよく目の当たりにする。特に,「会社支給」のケータイを持っている人に多いような印象がある。相手が社内にいようがいまいが,とにかくケータイからケータイへ。確かに相手と素早く連絡をつけるには,携帯電話/PHSは最適なビジネス・ツールと言える。しかし,通話ごとの料金が発生しない内線電話システムがあるにもかかわらず割高なケータイから通話することは,コスト削減が必要条件の現在において必ずしも励行できない。

 モバイル・ソリューションの実務情報サイト「ケータイ on Business」では,こうした“社内での電話のかけ方”と“携帯電話/PHSの内線利用”について,アンケート調査を実施した。対象はメール・マガジン「ケータイ on Businessメール」の読者で,ユーザー企業の属性を持つ1000人に調査依頼メールを発送し,214人から有効回答を得た。

3割が社内の通話にケータイを利用

 その調査結果を見ると,やはり社内通話であってもケータイを“活用”している人たちがかなりいる。3割に近い人が,「社内にいるであろう相手に,社内から一般の携帯電話/PHSで電話をかける」というのである。その中でも「日常的にかけている」常習者が12%に上る。業態にもよるので一概にぜひは問えないが,企業は内線電話システムの投資やランニング・コストに加えて,“内線”で使うケータイの通話料金まで重複して支払っているというわけだ。

 その理由として,「内線電話機がない場所から連絡するため」「社内に内線電話機がない」といったやむを得ないものも多い。しかし,それを上回るのは,「電話帳に相手の番号を登録してある」といった回答。また,発信者番号を相手に知らせることで,だれからの電話かを明示させる効果を求めている人も多い。

 どこからでもかけられて,電話帳などの機能が満載の携帯電話/PHSの利便性は,もはや動かしがたい。すでに,PHSによる構内コードレス・システムを中心に,携帯電話/PHSを内線電話端末として使うケースも増えている。調査結果では,勤務先の内線電話端末として,携帯電話/PHSを利用していると答えた人が2割を超えた。

 こうした利用を強力に後押しするであろう,携帯電話を端末として内線電話にも使えるようにする,いわゆる「モバイル・セントレックス」のシステムやサービスが2004年後半から登場している。PHSによる構内コードレス・システムからのリプレース需要に加えて,新規のユーザーを獲得しようとのもくろみである。

 特に,NTTドコモの無線LANと第3世代携帯電話のデュアル端末「FOMA N900iL」を使うシステムは,モバイル・セントレックスの潮流の中で大きな注目を浴びた。今回の調査では,携帯電話/PHSを内線電話の端末として使っていると回答した人に,実際の利用端末を尋ねた。その結果,FOMA N900iLは約5%の回答者が利用端末に挙げた。まだPHS系のシステムを使っていると回答した人が7割近くあり,牙城を崩すには至っていないが,着実にユーザーを増やしているようだ。

 一方で,FOMA N900iLのような専用端末と設備投資が必要なシステムが先行して注目されたために,「中小企業ではコストが見合わない」「専用端末は困る」といった声が,アンケートの自由意見欄に多く見られた。実際には,設備投資なしでグループ内通話を無料にできるボーダフォンの「Vodafone Mobile Office」や,ウィルコムのPHS同士の通話が無料になる「ウィルコム定額プラン」など,手軽に始められる内線代替サービスもある。ただしこれらは,まだあまり認知されていないのが実情だ。

 社員間の通話をケータイで自在にかけられれば,社員の利便性が向上する。そうした“内線”としての利用部分を定額にするシステムやサービスもある。「中小企業だから,モバイル・セントレックスなんて関係ない」と思っている会社でも,すでにコストと利便性のメリットを得られるソリューションが用意されている可能性はある。まずは,ケータイからのその電話,“どこのだれにかけているか”を意識することが,検討に向けた出発点になろう。

岩元 直久=IT Pro