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 読者の皆さんは,通勤時間や通学時間に何をしておられるだろうか。駅のホームや電車の車内で観察してみると,新聞や雑誌を読む人のほか,「iPod」などの携帯型デジタル音楽プレーヤーで音楽を聴いている人が少なくない。ちなみに小職も通勤時間中,たびたびiPodを使っている。お気に入りの楽曲を楽しむだけでなく,最近はポッドキャスティングの映像番組を視聴している。

 既にご存じの方も多いと思うが,アップルコンピュータは動画対応iPodのユーザー向けに,楽曲配信サービス「iTunes Music Store」で,楽曲だけでなく音楽ビデオも提供している。また,音声や映像などのコンテンツをインターネット経由で配信する「ポッドキャスティング」の仕組みを使って,放送事業者や新聞社,ISP(インターネット・サービス・プロバイダー)などが映像番組を配信している。情報番組や報道番組,バラエティ番組など様々なジャンルの番組が提供されており,なかなか楽しい。

 例えば,テレビ朝日の情報番組「スーパーモーニング」などを手がける番組制作会社「メディアエンジン」の内田勉社長は,2005年12月に新会社「PodTV」を設立し,同社を通じてニュースや天気予報などの情報を盛り込んだ番組「朝トレon Pod TV」を配信している。朝は通勤通学の準備で忙しく,毎日,朝の情報番組をじっくりと視聴できない人も多いだろう。

 ポッドキャスティングの情報番組をiPodにダウンロードしておけば,電車のなかで最新ニュースなどを確認できる。PodTV以外にも,読売新聞社などがポッドキャスティングの映像番組を制作し,最新ニュースなどを配信している。ポッドキャスティングは既存の報道機関も無視できない存在になっているようだ。またISPのニフティは本社に若手落語家を招き,寄席の様子を収録して,ポッドキャスティングの映像番組として配信している。視聴可能な映像番組が増えるにつれて,iPodは映像端末としての性格を強めている。

携帯ゲーム機向け映像番組も急増

 携帯型デジタル音楽プレーヤーの映像対応が進む一方で,携帯ゲーム機向けの映像配信サービスを手がける事業者が相次いで映像番組のラインアップ拡充に乗り出すなど,携帯ゲーム機にも変化が起きつつある。例えばソニーコミュニケーションネットワーク(SCN)は,携帯型ゲーム機「プレイステーション・ポータブル(PSP)」を対象にした映像配信サービス「Portable TV」で,2006年中にもニュースやスポーツ中継の配信を開始する。現在,同社はPortable TVで音楽ビデオやアニメなどの映像をインターネット経由で配信している。

 また,任天堂の携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」などのユーザーを対象にした店頭端末による映像サービス「アドバンスDSムービー」を手がけるベンチャー企業の「am3」は,料理関連の映像コンテンツなどを同サービスのラインアップに加える方針だ。現在は同サービスで「クレヨンしんちゃん」などのアニメを提供している。

 このように2006年は携帯ゲーム機で映像番組を楽しめる環境が整いそうだ。脳の活性化を目的とした大人向けゲームの登場により,携帯ゲーム機のユーザー層が広がっているという追い風もある。2006年は携帯ゲーム機を映像端末として使う人が急激に増える年になるかも知れない。

携帯端末の映像視聴にはデメリットも?

 iPodや携帯ゲーム機における映像番組の増加に加えて,2006年4月1日には携帯端末向け地上デジタル放送「ワンセグ」が開始される。NTTドコモやKDDIなどの携帯電話事業者が提供する映像配信サービスのコンテンツに加え,放送番組が視聴できるようになることで,携帯電話機の映像メディアとしての存在感も高まりそうだ。

 このように様々な携帯端末で映像を視聴できる環境が整っており,今後,通勤時間などの「隙間時間」を利用して,映像を視聴する人が増えるのは間違いない。ただし携帯端末で映像を視聴する人が増えれば,番組の内容に夢中になるあまり,電車を乗り過ごす人が増えるといった現象が起きるかも知れない。携帯端末で映像番組を視聴しやすい環境が人々にどのような影響を与えるかを確認するため,駅のホームなどでの人間観察を引き続き行う必要がありそうだ。