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 「もっと顧客から課題を聞き出す力があればなあ」「専門知識を生かして積極的に提案してもらえると助かるのだが」---。

 営業担当者がITに関する商談で客先を訪問した際に、同行したSEに対してこんな不満や要望を抱いている。顧客に対して「何をすればいいのでしょうか」と“御用聞き”に徹して提案しようとしないSEや、顧客と積極的にコミュニケーションを図ろうとしないSEに対して、営業担当者はもどかしい思いをしているのだ。

 日経ソリューションビジネスは,5月15日号の特集「SEの提案力強化で差をつけろ!トップ営業も認めるソリューションの達人育成法」に関連して企画・実施した調査で、ソリューションプロバイダの営業担当者208人から、“普段はなかなか話せないSEに対する本音”を聞いた。

 その結果、「SEに足りないと思うスキル」の上位3項目は、「顧客の課題などを聞きだす力」、「その場に応じた会話ができる力」、そして「専門知識を生かした積極的な企画提案」が占めた。

 営業担当者がSEに抱く不満は、SEに対する期待の裏返しでもある。そんな不満や期待が込められた、営業担当者からSEに対するコメントをいくつかを紹介しよう。

◆営業からSEへの本音その1

「お客様の目の前で“それはできません”と即答しないでほしい」

 顧客から課題を解決する方法について相談をされた際に、「そんなことはできません」と即座に返されると、そこで商談は終了してしまう。その場に居合わせた営業担当者は、SEと顧客のやり取りを傍で聞きながら、せっかくの商談の機会を逃してしまいかねないと、冷や汗をかくことになるだろう。

 もちろん、SEが「できません」ときっぱりと答えるからには、明確な理由があるはずだ。しかし、顧客からの問いに対して単に「Yes」か「No」を返すだけで、できない理由を顧客に理解してもらおうとしないとすれば、顧客はもちろん、営業担当者にとっても大いに不満である。

 「これはできませんが、別の方法があります」と代替案を提示すれば、新たな商談の機会を生み出すことができる。SEの持つ豊富な技術知識や開発経験に基づいて、前向きな解決策を提示しようという姿勢が期待されているのである。

◆営業からSEへの本音その2

「お客様を満足させていくという顧客指向を持ってほしい」

 調査の回答では、「SEは顧客の立場に立った視点を持ってほしい」というコメントがかなり多かった。つまり、顧客がどんな問題に悩んでいるのかを把握し、顧客にとって本当に役立つ解決策を考えることを、営業担当者はSEに期待している。

 SEが顧客に満足してもらうためには、顧客との円滑なコミュニケーションが不可欠だ。そのためSEに対して「コミュニケーション力を向上させてほしい」と感じている営業担当者は少なくないのである。

◆営業からSEへの本音その3

「指示・依頼を待つだけでなく、自分で考え積極的に提案してほしい」

 営業担当者はSEに対して、ソリューション提案に際して、もっと積極的かつ能動的な態度で顧客に接してほしいと考えている。回答者からは「お客様から言われたことだけをするのではなく、お客様の予想を良い意味で裏切れるような仕事をしてほしい」、「受身にならず、自ら問題提起し、解決に取り組むことで信頼を得てほしい」といった要望が上がった。これらはSEの消極的な姿勢に対する不満の声でもある。

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 商談の中でSEが重要な役割を果たす場面は多い。筆者はこれまでに、ソリューションプロバイダがユーザー企業からシステムを受注するまでの商談過程を取材する機会が何度もあった。それらの取材を振り返ってみると、営業担当者が客先を足しげく訪問したり提案に工夫を凝らしたりして苦労の末に受注に漕ぎ着けるというストーリーも多いが、営業とSEがタッグを組んで営業を行い、SEの存在があったからこそ受注できた、という成功例も珍しくない。

 今回の調査でも、営業担当者の約8割がSEに対して「ぜひ提案力を身に付けてほしい」と回答した。「できれば身に付けてほしい」を含めると、SEに提案力を求める意見は95%にも達している。調査前に、ある程度は提案力を望む声が多いだろうと見ていたが、この結果は予想をはるかに上回るものだった。

 最近ではソリューションプロバイダの間でも、ソリューション提案力のあるSEを育成しようという動きは活発になっている。これまで受託ソフト開発が事業の中心だったソリューションプロバイダの中にも、自ら顧客に提案して仕事を受注できる力を身に付けようという挑戦を始めている。

 提案力の育成方法も、研修というよりもより実践的な内容が目立つ。例えば、中堅システム・インテグレータのDTSは「ソリューションマネジメント養成実践研修制度」を展開しているが、中堅SEに模擬提案だけでなく、新規の見込み客への提案活動というまさに真剣勝負の場で提案営業のノウハウを習得させようとしている。また、野村総合研究所のように、新入社員教育の時点で提案力育成のための研修に熱心に取り組む企業もある。

 SEが、営業担当者にはない技術知識や開発経験に裏付けられた提案を行い、営業担当者と助け合うことで、商談を有利に運ぶことができるだろう。各社の提案力強化の取り組みを見て、今後はトップセールス顔負けの活躍をするSEも増えてくるかもしれない、と期待している。