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 欧米に続き、日本でもこれから一気に導入が広がると期待されているUHF帯ICタグシステム。通信距離が3~5mと長いUHF帯ICタグは、物流の現場での業務を効率化するうえで最も適したものといえる。

 だからこそ、米ウォルマート・ストアーズや米国防総省などの本格導入に続き、日本でもヨドバシカメラが今月中にも入荷検品の効率化などの目的でUHF帯ICタグを導入しようとしている。ほかにも、通信距離が長いという特徴を生かした導入事例が出てきていることは、新聞などで見かけた読者もいるだろう。

 しかし、そのUHF帯ICタグシステムは、一つ大きな課題を抱えている。複数のリーダーを設置したときの干渉問題である。UHF帯リーダーは、通信距離が長いという特徴があだとなり、リーダー間の干渉がより深刻になる。通信距離が長いほど、遠くのリーダーにまで干渉を与えやすくなるからだ。

 この干渉問題を具体的に検証しようと、ICタグを含む自動認識技術の普及を推進する日本自動認識システム協会(JAISA)が2006年2月に実証実験を行い、このほどその分析結果をまとめた。

 結果をそのまま見れば、干渉は深刻ということになる。コンベアを流れる荷物のICタグを読むという実験では、リーダーを5m間隔で置くと、最大3台までしか置けなかった。コンベアがたくさんあって、4台目を置こうと思っても、リーダー間の干渉によって読み取りできなくなるのだ。後述するように、こうした干渉を避けるための方策はいくつかある。しかし「予想したよりも厳しい結果だった」(あるICタグ関連技術者)ことは確かなようだ。

干渉回避の新方式では高速コンベアに対応できない

 では、この実証実験で、UHF帯リーダーを4台以上設置した場合に、なぜ干渉が起きてしまったのだろうか。かなり複雑だが、そのからくりを見てみよう。

 実は、用途を考えなければ、リーダー間の干渉は簡単に避けることができる。同時に1台しか電波を出さないようにすればよいのだ。リーダーは電波を発射する前にキャリアセンスして、空いているときにだけ電波を出す。この仕組みをLBT(リッスン・ビフォー・トーク)と呼び、2006年1月の電波法令改正で技術条件として盛り込まれた。このLBTを活用すれば、同時に何台でもリーダーを設置できる。このLBTが有効に機能することは、今回のJAISAの実験でも実証された。

 ところがLBTは、この実証実験のように、コンベア上を高速で動くものを漏れなく読み取るという用途では適用が難しい。1台のリーダーが電波を出している間、ほかのリーダーは電波を出せず、その間にリーダーアンテナの前を荷物が通り過ぎてしまう恐れがあるからだ。実験結果を分析してみると、実際に使われている高速なコンベア(100m/分など)では、読み落としが発生し得ることが明らかになった。人が荷物を通過させる程度のスピードなら可能性があるが、高速コンベアでは難しいのだ。