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情報を1画面で一覧できる個人向けポータル

 多くの情報をWebブラウザ上のミニ・ウインドウに表示し,個人向けポータル・ページを目指しているのが,ProtopageやSanebullなどだ。


Ajaxデスクトップによる個人向けポータルProtopage
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株式市況データなどを表示する個人向け金融ポータルSanebull
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日本のベンチャ企業クレイプが開発したSNS Rinca.cc
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Googleパーソナライズドホーム。マウス操作で配置を変更できる
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Windows Live。マウス操作での配置変更が可能
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 Protopageはニュース・サイトからの最新情報を表示するウインドウや,付箋ウインドウ,RSSリーダー・ウインドウなどを備える。ブラウザ・ウインドウを持つものもあり,見かけ上はブラウザの上でブラウザが動くという奇妙なことになる。ちなみにeyeOSにもブラウザ・ウインドウがあり,eyeOSも個人向けポータル的なものを指向していると言える。

 Sanebullは金融マーケット情報モニターだ。株式の市況などを表示したり検索できたりするウインドウをブラウザ上に自由に配置できる。

 日本のベンチャ企業クレイプが開発したRinca.ccは,付箋による情報共有を目指したSNSだ。個人のページはAjaxデスクトップ環境になっており,画像も貼り込める付箋ウインドウを配置することができる。この付箋をパブリック・スペースにも貼ることで他人と情報共有できる。またFlashによるニュース表示などのWidgetを開発中であり,クレイプ 代表取締役 相川大輔氏は,「単なるSNSに留まらず,ミニアプリケーションを増やしていくことで個人向けポータルとして進化させたい」という。

Googleパーソナライズド ホームはWINDOWS 1.0?

 これらのWebデスクトップを見たときに,記者はあるOSの最初のバージョンを思い出した。WINDOWS 1.0である。

 WINDOWS 1.0ではアプリケーション・ウインドウは重なりあわないよう,タイル型に配置された。WINDOWS 1.0が出荷された時期,すでにオーバーラップ型のウインドウ・システムは出現していた。すなわち,Microsoftはアイデアの欠如でタイル型ウインドウを選んだわけではなく,当時のパソコンの処理性能や画面解像度などの制約からタイル型ウインドウを選択したものと思われる。

 GoogleとMicrosoftが提供している個人向けポータル・サイトであるGoogleパーソナライズド・ホームWindows Liveは,ともにタイル型マルチウインドウを採用している。これらはAjaxにより,メールやRSSリーダー,ニュースなどのウインドウをドラッグ・アンド・ドロップで移動させることができるが,ウインドウは互いに重ならないよう,タイル状に配置される。WINDOWS 1.0に相当する,と言えるかもしれない。

 開発コストについて,クレイプ 取締役 草間正則氏は「Ajaxデスクトップにしたことでそれほど開発工数が増えたとは感じない」という。Rinca.ccはプログラマ3名で約3カ月で開発したという。Ajaxデスクトップの工数だけを計算するのは難しいが,せいぜい1人ぶん程度だという。Ajaxデスクトップがこれだけ一般化していることから言っても,技術や工数がネックになるケースは少なそうだ。

 実行性能はネットワークやマシンの環境,また個人の感じ方に依存するので,あくまで記者の体感になるが,クレイプのRinca.ccなど,シンプルなWebをブロードバンド環境で使用した場合はほとんど遅さを感じなかった。しかし,デスクトップを細部まで忠実に再現したものになると,ホビーならばよいが,仕事に使うとなればストレスを感じるだろうというのが感想だ。JavaScriptはインタプリタであり,バイナリのアプリケーションに比べれば重い。またブロードバンドが普及してきたとは言え,モバイル環境での利用も考慮する必要がある。

 それではネットワーク性能や処理性能がさらに向上すれば,Webブラウザ上のデスクトップ環境は標準になるだろうか。記者は,Webオフィス・ソフトを紹介した際に述べたように,Web上でデスクトップと全く同じものを再現しようすることは,必ずしも実用上の成功にはつながらないのではないかと感じている(関連記事)。普及のためにはWebデスクトップならではの用途,すなわちWindowsにおけるExcelやWordのような,Webデスクトップにとってのキラー・アプリケーションが必要になるのではないか。

 クレイプがSNSというアイデアを持ち込んだり,eyeOSやStartForceがAPIを公開したりすることでユーザーがアプリケーションを開発できるようにするなど,すでに多くの試みが始まっている。これからWebデスクトップならではの特徴を生かした,どのようなアイデアが登場してくるか。楽しみでならない。