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 携帯電話の電話番号を変えずに,契約しているキャリアを乗り換えられる「番号ポータビリティ」が10月24日にスタートする。長年の議論の末に到達したサービス開始まで,あと1カ月少々になった。携帯電話の各キャリアは,端末の充実やサービス拡充,法人向けのソリューション提供などで,自社の優位をアピールしようと躍起になっている。

 もとより競争の激しい業界だから,新サービスや新端末でしのぎを削ること自体は日々繰り返されたきた。その中で,徐々にではあるが,端末やその機能などが「お仕着せ」から「カスタム」へと向かう流れが出てきていると記者は感じている。

 これまで携帯電話の端末や機能,サービスなどは,多くの場合キャリアが提供したものを使うしかなかった。キャリアの各種サービスの提供に合わせて,端末もその機能を実装する。通信サービスとは直接関係ない機能を別にすると,同一キャリアならばおおよそ横並びの機能を備えた端末が新機種として並ぶことになる。ユーザーはデザインや使い勝手,詳細な機能の違いなどで端末を選んできたはずだ。

 こうした中で,一つのカスタム化の流れは,スマートフォンの登場により生み出された。本格的なスマートフォンは2005年7月発売のNTTドコモのビジネスFOMA「FOMA M1000」(米モトローラ製)を皮切りに,ウィルコムの「W-ZERO3」「W-ZERO3[es]」(シャープ製)が登場。NTTドコモもさらに「hTc Z」(台湾HTC製)を発売し,徐々にその存在感が増してきている。9月14日にはボーダフォンもHTC製のスマートフォンを市場に投入する 発表があった。

 FOMA M1000はSymbian OS,W-ZERO3,同[es],hTc ZはWindows Moblie 5.0という高機能なOSを搭載しており,いずれも各種のアプリケーションを後から追加できる。追加できるアプリケーションは,iアプリなどのJavaアプリとは異なり,端末のネイティブ機能との連携に制約がないため,業務システム構築などでの自由度が高い。

 NTTドコモは,さらに今秋,欧米で流行しているモバイル情報端末「BlackBerry」も法人市場向けに投入する。おもなターゲットユーザーは,海外の本社などで標準的に使っているBlackBerryを国内でも使いたいという外資系企業など。端末自体のカスタム化とは異なるが,無線インターネットで社内メールのプッシュ型配信が可能であり,携帯電話としてもW-CDMAとGSM/GPRSなど複数の通信方式に対応する端末という意味で,ユーザーの要望に対する一種のカスタマイズ対応と考えられる。

 スマートフォンのhTc ZとBlackBerry端末の投入に当たって,NTTドコモは法人向け端末の提供方針を変更した。これまでのNTTドコモの端末は,同社のサービスに適合するように“ドコモ仕様”できっちりと作られてきた。法人市場を狙ったFOMA M1000も,その路線上で時間とコストをかけて開発した端末だという。ところが,hTc ZとBlackBerry端末では,需要がある端末をいち早く市場に投入するスタンスだ。hTc ZはWindows Mobile端末を日本語化する程度。BlackBerry端末に至っては,日本語対応もソリューションとして提供する予定といった具合だ。

 法人向け端末は,個人向け端末に比べて数量が限られている。それでも,Windows Moblieで業務アプリを組み込みたい,国内でもBlackBerryを使いたい---といった企業ユーザーは確実にいる。NTTドコモはこうしたユーザーをしっかりつかみ取るため,広い意味でのカスタマイズ対応に踏み出したと言えそうだ。

 スマートフォンだけでなく,通常の端末でも機能をカスタマイズできるようにする動きが出始めている。

 KDDIはこの7月に「携帯電話統合プラットフォーム」の構築を発表した。携帯電話が搭載するほぼすべてのソフトウエアを共通化し,統合プラットフォームとしてKDDIが提供する計画である。端末メーカーは,統合プラットフォームがあらかじめ用意している機能やサービスの中から,必要なものを選択するだけで端末を簡単に開発できるようになる。

 この延長線上には,ユーザーが機能をカスタマイズできる携帯電話のプランもある。KDDI コンシューマ事業統括本部 au事業本部 au事業企画部長の雨宮俊武氏は「今後の携帯電話のキーワードは“カスタマイズ”。ユーザー自身が必要な機能やサービスを選んだ自分専用の端末が作れる方向を考えている。極端なことを言えば,アプリはゼロのまま出荷して,好きなものだけを入れてもらうパソコンのような携帯電話もあり得る」という。

 組み込み型ブラウザなど携帯電話向けソフトを提供するACCESSも,携帯電話のアプリケーション開発用のプラットフォームを準備している。端末の開発工数を減らす効果はもとより,アプリの追加などを容易にして,カスタマイズ可能な携帯電話への道を開くものと言える。

 決まった機能を使いこなす携帯電話から,必要な機能を選んで企業向けや自分向けにカスタマイズした携帯電話へ。こんな動きが進めば,「ケータイ 2.0」などと言われる日が来るのかもしれない。