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世界に通じるソフトを「米国で作って日本で磨く」

 日帰りしたかったが、同窓会が盛り上がり最終の新幹線が発車しまったので、名古屋に一泊した。翌26日は、早朝の新幹線に乗り、朝9時前に出社できた。25日はずっと外出していたので、諸々の仕事が溜まっており、それらを片付けると夕方になってしまった。あいにくの土砂降りであったが、日本ルシーダというソフト会社へ向かった。

 日本ルシーダと聞くと外資系の企業かと思える。実際、米国はシリコンバレーにLucida,Inc.という企業があるが、日本資本の会社である。米国法人は技術と製品の開発および情報収集、日本法人が営業・マーケティングを手掛けている。米国法人はもともと、富士通の通信関連製品の開発を手掛けていたメンバーが独立して生まれた。ネットワーク関連の技術力を活かし、同社は、パソコンのExcelファイルのデータ連携を担うサーバー・ソフト製品を開発している。この製品を使うと、世界各地の営業所に置かれているパソコンの営業実績表と、本社管理部門の管理帳票の間でリアルタイムにデータを連携できる。営業所長が自分のパソコンのExcelシートに営業実績を入力すると、直ちに本社の管理部長のパソコンに入っているExcelシートの数字が更新される。

 面白い製品であったが、筆者にとっては、日本ルシーダの河合一裕社長の経歴も興味深かった。河合氏は、伊藤忠データシステム(現・伊藤忠テクノソリューションズ)やゼネラル(現・富士通ゼネラル)といった企業で、オフィス向けのシステム製品の企画や販売を手掛けてきた。8ビット・パソコンから16ビット機へ移行する際、8ビットと16ビット対応のアプリケーションが両方動き、さらにメインフレームと接続するエミュレータ・ソフトを標準搭載したパソコンを企画・開発し、大手企業に販売したりした。かつて手掛けてきた製品やシステムは、初期の日経コンピュータ誌に報道されたと河合氏は語っていた。

 オフィスワーカーの生産性向上というテーマは、過去も現在も同じである。同社がユニークなのは、米国で開発したソフト製品を日本市場で磨き、世界に打って出ようとしている点だ。そういえばJUASの細川氏も、日本企業のノウハウを集約したソフト製品の海外展開に期待する、と話していた。

無限ループから出るカギは温故知新

 今年の1月4日、『無限ループから脱出する方法』と題した一文を本欄に公開した。情報システムにまつわる諸問題を議論すると、鶏が先か卵が先かといった堂々巡りに陥ってしまうことが多く、なかなか解決へ向けて歩み出せない、といった主旨であった。9月末、ベテランの方々に立て続けにお目にかかって感じたのは「無限ループを出るには、解決策を自分で考えるしかない」ということだ。「何々が足りないからできない」とつぶやいていても、「何々」はなかなかやって来ない。同時に、過去の先達が知恵を絞って取り組んだ活動から学ぶ点は多い、とも感じた。

 「温故知新」という言葉がある。広辞苑第三版によると、「昔の物事を究めて新しい知識や見解を得ること」である。企業情報システムの世界における温故知新の場所として、『Enterprise温故知新』という特別番組をITpro上に作ってみた。今年10月で創刊25周年を迎える日経コンピュータは、これまで662冊が刊行された。過去662冊の日経コンピュータに掲載された「昔の物事を究めて新しい知識や見解を得ること」、これが『Enterprise温故知新』の目的である。

 当初公開するページには、『動かないコンピュータ』の歴史的な第1回目、日経コンピュータ創刊号に掲載された編集長インタビュー記事、を復刻して公開した。さらに長年の読者や日経コンピュータの歴代編集長によるオリジナルコラムを掲載していく。『目次は語る』という欄を作ったので、筆者が過去の日経コンピュータを再読して感じたことを書いていきたい。筆者は2005年1月5日付の「記者の眼」欄に、『日経コンピュータの報道を検証する』と題した一文を書いた。『目次は語る』はこのコラムの続編に当たる。