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 「Linuxは軽い」--。昔からよく,こう言われる。グラフィックスを使わず,コマンド・ラインだけで利用できること,メモリー容量に制限のある組み込みシステムでも多用されていることから,そのようなイメージがあるのだろう。

 2001年に登場したWindows XPには,256Mバイト以下のメモリーでは動作が遅いという不満があった。その2年後の2003年に登場した「Red Hat Linux 9」をデュアルブート構成で動作させてみると,確かにRed Hatの方が高速に動作した。

 2007年に入って普及の兆しが見られるWindows Vistaに至っては,推奨システム要件に「1GBのシステム メモリ」と書かれている。こうしたことが,冒頭の“神話”につながっているのだろう。

 そのためか,古いパソコンにLinuxをインストールして「再び使いこなしたい」「せめてWebアクセス専用機に仕立て上げられないか」というニーズは多くなっているようだ。例えば,ITproでも事例として過去に取り上げられている。この背景には,本来インストールされていたOSが動作しなくなりインストールCD-ROMも紛失した,OSのサポートが終了しており不安が残る,拡張メモリーが入手できない,古いパソコンにコストをかけたくない/かけられない,など様々な理由がある。

 実際,Linuxは組み込み用途などにも適しており,32Mバイトのメイン・メモリーで動作する組み込みLinux製品も多数見られる。

 しかしながら,「Fedora」や「openSUSE」,「Ubuntu」などの最新Linuxディストリビューションは,256Mバイト以上のメモリーが前提となっている。「OpenOffice.org」などのオフィス・ソフトウエアを利用するなら,512Mバイト程度のメモリーが欲しいところだ。つまり,最新デスクトップLinuxについていえば,「Linuxは軽い」は,実態とかけ離れた神話に過ぎない。

軽量1CD Linuxという選択肢

 その一方で,世界には数百のLinuxディストリビューションがある。その中には,例えばメモリーが128Mバイトしかない,という場合でも快適に利用できるものもある。

 少ないメモリーで動くLinuxディストリビューションの代表としてよく挙がるのが,「Debian GNU/Linux(Debian)」である。Debianのインストーラは32Mバイトのメモリーがあれば起動する。さらに,必要なパッケージ(ソフトウエア・モジュール)を細かく追加していくことで,メモリー占有量を絞ることが可能だ。ただし,逆に言えば,それなりの知識がなければ軽量なOSをインストールすることができない。

 もう一つが,軽量1CD Linux(LiveCD)だ。1CD Linux自体はハード・ディスクを使わず,CDのまま起動して利用できるLinuxである。1CD Linuxにはいくつものディストリビューションが存在するが,それらのうち,メモリー消費量が少ないものが,古いパソコンの再生にお薦めである。

 日経Linux誌で実際に1CD Linuxをいくつか利用してみたところ,お薦めできる候補が3つ残った。「INSERT」,「SLAX」,「Puppy Linux」だ。いずれも有志により日本語版が公開されている。これらは,128Mバイトのメモリーで起動し,日本語の表示,入力が可能。GUI上でのWebブラウジングもができる。カスタマイズの必要もない。

 INSERTは64Mバイトのメモリーでも利用できることが特徴だ。3つの候補のうち,最も占有メモリーが少ない。ただし,Webブラウザ(Dillo)にいくぶん機能制限があった。

 SLAXとPuppy Linuxは128Mバイト以上のメモリーが必要だが,SLAXはユーザーの多いKDE(K Desktop Environment)を起動時に選択でき,Puppy Linuxは利用できるアプリケーションの種類が豊富である。

 この3つ以外には,国内で幅広く使われている1CD Linuxの「KNOPPIX」がある。だが古いパソコンに対してKNOPPIXは薦められない。機能は豊富だが決して軽量とはいえないからだ。確かにKNOPPIXは128Mバイトのメモリーでも起動するが,動作が極端に遅くなり,快適に利用できない。それでいて書き込み可能領域を提供するために,メモリーの一部をRAMディスクとして使ってしまう。メモリーが不足するため,Webブラウザが動作しない場合もある。KNOPPIXは軽量化よりも,豊富な機能や仮想化(VMKNOPPIX)といった方向で開発が進められているからだ。メモリーが少ないパソコンにとっては過酷である。

 軽量1CD Linuxは,メモリー容量や使いたいアプリケーションによって選択肢が存在するのがありがたい。各Linuxディストリビューションは,それぞれのWebページからダウンロードできるほか,日経Linux2007年9月号にもPuppy Linuxを除き,収録した。ぜひ試してもらいたい。