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 ITproでは10月1日から特番サイト「グリーンIT」を立ち上げた。それに関連して私も昨日から連載「調査に見る企業のグリーンIT対応」を開始した。この連載を始める前,私自身,「情報システムの現場に環境問題を考える余裕はあるのか?」と思っていた。

 実際,調査結果を見る限り,環境問題に対する意識は決して高いとはいえず,データセンターで発生している様々な問題に対しても,未対策なユーザーが多かった。まずは,「目先にあるデータセンターの問題を解決すべき」と思ってしまうのは仕方ないだろう。しかし,ユーザー企業がデータセンターの問題点として上位に挙げている項目には,対策によっては同時に環境対策も行えるものが多いことに気が付いた。

スペースやサーバーの発熱の問題は環境対策と一緒に解決できる

 図1は,連載「調査に見る企業のグリーンIT対応」で掲載したものと同じグラフだが,ユーザー企業が挙げているデータセンターの問題点を見てほしい。

図1●データセンターの抱える問題点
図1●データセンターの問題点
「スペース」「サーバーの発熱」「電源容量」といった問題点は,環境対策とセットで解決できる。

 この結果では,2番目から4番目に「スペース」「サーバーの発熱」「電源容量」が挙げられている。これら3つの問題点は,既存のサーバーを,より容積効率がよく省電力なサーバーに入れ替えるとともに,サーバーを仮想化して集約し台数を減らすことで,環境に配慮しながら問題を解決できる。

 まず,より容積効率がよく省電力なサーバーへの入れ替えだが,数年前に導入したサーバーはラック型やタワー型が多いと思われるので,それをブレードサーバーに置き換えればよい。日本IBMによれば,複数のラック型からブレードサーバーに物理統合することで,30%の電気代が削減できるという。消費電力が減れば,必要な電源容量が小さくなるだけでなく,サーバーの発熱も少なくなる。加えて,ブレードサーバーは容積効率も高いのでスペースの問題も緩和する。

 次に仮想化だが,その前提としてユーザーの実使用環境では,WindowsサーバーやUNIXサーバーの稼働率はあまり高くはないというのがある。x86サーバー(多くはWindowsサーバー)の場合で,サーバーの負荷は10~20%程度だという。しかし,サーバーは起動しているだけで,最大負荷時の70~80%の電力を消費するので,消費電力当たりの処理量という面では実に効率が悪い。

 そこで,Windowsサーバーの場合,元々負荷が20%程度しかないのであれば,リプレース時期にあるサーバー4台分を1台に集約していけばサーバー台数を削減できるというわけだ。4台分を1台にまとめると負荷が合計で80%にもなると思うかもしれないが,リプレース時期を迎えるのは5年ほど前のサーバーと考えられる。最新のマシンは性能も向上しているので,移行先のマシンの選択さえ間違えなければ問題はないと思われる。

毎年15台のWindowsサーバーが減らせる?

 では実際には,どの程度のサーバーが,こうした移行の候補になりうるのだろうか。ITpro Researchで行った調査によると,ユーザー企業が利用しているサーバーの台数は図2の通りだ。

 ユーザー企業が利用しているサーバーの台数は10~99台が最も多く,それに9台以下,100台~499台が続く。これを各レンジの中央値(1000台以上は1500台とした)でユーザー企業の平均台数を計算すると,約178台となる。

図2●ユーザー企業が利用するサーバーの台数
図2●ユーザー企業が利用するサーバーの台数
10~99台とするユーザー企業が最も多い。

 次に利用しているサーバーの種類の内訳だが,これも今回の調査結果によると,表1のようになる。ユーザー企業が利用しているサーバーのうち59.6%がWindowsサーバーで占められている。これを平均的なサーバー台数から計算すると,1企業当たり106台ものWindowsサーバーを利用していることになる。これらが仮想化して集約しながらブレードサーバーへ移行する対象だ。

表1●ユーザー企業のサーバーの構成
メインフレーム8.5%
UNIXサーバー16.8%
Windowsサーバー59.6%
ブレードサーバー8.3%
その他サーバー6.1%

 先にも述べた通り,実際に移行する際には,サポート期間やリース期間の過ぎたサーバーから順に移行していくことになるだろう。そこで仮に5年間で均等に入れ換えると仮定すれば,移行対象になるWindowsサーバーは1年当たり21台になり,4台を1台にまとめていけば15台のWindowsサーバーを減らして,6台に集約できることになる。

 ただ,全体の平均では,半数近くを占める10~99台を利用しているユーザーでは対象となるサーバーが少ないのではないかと思われるかもしれない。しかし,10~99台を選んだユーザーに絞って,サーバーの種類の構成を調べてみると,Windowsサーバーの比率は65.5%と全体よりも比率が高くなる。これらのユーザーが平均して55台のサーバーを利用しているとすると,36台のWindowsサーバーがあることになり,思っていた以上に対象となるサーバーの台数は多い。

 これらのユーザーも5年で均等に移行すると仮定すると,1年当たり7.2台が対象になり,7~8台のサーバーを2台に集約できることになる。毎年5~6台のサーバーを削減できる計算だ。

 いずれの場合も,これだけ削減できれば情報システムの処理量の伸びを考えても,「スペース」「サーバーの発熱」「電源容量」の対策としては十分な効果が期待できるだろう。加えて,サーバーを減らせれば,サーバーの運用もしやすくなることが期待できる。そうなれば,5番目に挙げられた「運用負荷」の解決にもつながる。

 こうしてみると,ブレードサーバーと仮想化の導入は,なかなか魅力的な解決策に思えてくる。もちろん,これは調査結果などをベースに机上の計算を行ってみたに過ぎないが,データセンターの問題を解決する際に,ぜひ選択肢の一つとして検討してみてほしい。