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 050-XXXX-XXXXはIP電話専用の番号である。2003年からのIP電話ブームに伴い,050番号ユーザーは急速に増えた。家庭はもちろん,企業ユーザーでも050番号を活用するケースが増加した。しかし,最近,「050番号に見向きもしない」という声が聞こえてくる。いまやIP電話は,03-XXXX-XXXXのような0AB~J番号が主流になっているという。050番号は日陰のまま終わってしまうのだろうか。

3年強で1000万突破

 IP電話への050番号の割り当ては,総務省が2002年11月に始めた。ISP(インターネット・サービス・プロバイダ)が自社のブロードバンド・ユーザー向けのIP電話サービスに050番号を付与していった。当初は,050番号同士,または050番号からNTTの加入電話への一方通行でしか利用できなかったが,2003年10月からNTTの加入電話から050番号のIP電話にかけられるようになった。

 同じISPのユーザー同士または提携するISPのユーザーとの通話なら無料,加入電話にかけても全国一律で3分10円未満でかけられるという低料金が“売り”。このメリットにより,ユーザーは順調に増えていった(図1)。企業でも,番号に余裕があるため好きな番号を割り当ててもらえることやオフィスが移転しても同じ番号を使い続けられるなどを評価して,050番号を利用するようになった。各社員のダイヤルインとしても使われた。

図1●IP電話と加入電話の契約数の推移(総務省の調査)
図1●IP電話と加入電話の契約数の推移(総務省の調査)
050番号のIP電話は1000万突破以降伸びが止まり,0AB~J番号のIP電話が増え始めた。加入電話は,0AB~J IP電話の増加に伴い減少。

 2006年3月3日に1000万を突破した(関連記事)。しかし,そのころから勢いがなくなった。NTT東日本/西日本の「ひかり電話」などの0AB~J番号が使えるIP電話が主流となっていたからだ。ひかり電話サービスが登場したのは2004年9月であるが,サービス・エリアやサービス・メニューが拡大し,それとともに対応製品が充実していき導入が進んでいった。同時に,050番号ユーザーは頭打ちとなった。

 もっとも,図1を見ると,050番号が増加しても,加入電話はそれほど減少していなかったことがわかる。つまり,既存の電話の置き換えではなく,2台目の電話として導入していたユーザーが多かったわけだ。これに対して,0AB~JのIP電話は加入電話の置き換えにつながっている。

050番号は不要なのか

 050番号は,IP電話は確かに“電話”であるが従来の加入電話に比べて機能的に劣ることを明確にするために新たに設けられた番号体系である。劣る点は,「通話品質が劣る」「110番などの緊急通報ができない」である。

 050番号のIP電話はデメリットばかりではない。「料金が安い」「全国どこでも同じ番号を使える」というメリットがある。基本料金は無料もしくは格安なうえ,ISPやIP電話サービス提供事業者が同じユーザー同士ならば,通話は無料である。また,オフィスでも出張先でもどこでも同じ050番号で着信できるモビリティがある。

 しかし,050番号を積極的に公開しないでほとんど発信専用に使うユーザーが多く,モビリティを活用するユーザーがほとんどいない。その結果,IP電話も単なる電話ととらえ,0AB~J番号のIP電話を導入するのが主流となった。「050-XXXX-XXXXってなんの番号だろう?」と不審に思うユーザーは相変わらず多く,ユーザーが増加しなければ無料通話の相手も増えない。これがさらに050番号を敬遠させている。

 この背景には,Bフレッツに代表されるFTTHの普及がある。FTTHならば,0AB~J番号のIP電話を利用できる。ならば,なかなか市民権を得られない050番号よりも0AB~J番号のIP電話を利用するのが自然であろう。

 最近はADSLに替わりFTTHが順調に伸びている(図2)。この伸びに,図1の0AB~J IP電話の契約数は比例している。来年にはNGNサービスが始まり,FTTHの普及が加速する。このままでは050番号は細々と使われる存在となってしまう。

図2●ブロードバンド契約数の推移(総務省の調査)
図2●ブロードバンド契約数の推移(総務省の調査)
FTTHが急速に増えており,図1の0AB~J番号のIP電話と比例。

 このまま050番号を“生殺し”にしておくのはもったいない。有効活用を考えてはどうだろうか。一つはすでに実践されている転送電話専用番号である。音声品質基準をクリアできないSkypeに,加入電話などから電話をかけられるようにするため,050番号でいったん着信させて転送するという使い方である(関連記事)。固定電話や携帯電話に転送するサービスもある。

 この種のサービスは,050番号の着信先にIP電話機があるとは限らない。端末自体ない場合もある。1つの番号で,どこでもどの端末でも着信できるとなると,FMC(Fixed Mobile Convergence)に似てくる。FMCには060という専用の番号が用意されている(関連記事)。

 では,音声品質が一定の基準をクリアできない電話に割り当てられるようにしてはどうだろうか。そうすれば,Skypeなどのインターネット電話に直接割り当てられるようになる。携帯電話のパケット通信を利用したIP電話でも使えるようにしてもよい。そうすれば,来年にも登場するWiMAXなどの2.5GHz帯を使った無線ブロードバンド・サービスのIP電話でも利用できる。

 いずれにしても,このままでは「050番号=IP電話」は定着しないだろう。