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 Windows Vistaを導入予定の企業は多いのか少ないのか。IT部員を他社に引き抜かれたことがある企業はどのぐらいあるのか。この1年で情報漏洩が発覚した企業はどの程度に達するのか。オフショア開発を経験した企業はどれくらいか――。

 日経コンピュータは2007年12月10日号の特集で、第2回「企業のIT力」ランキングをまとめた(関連記事「企業のIT力ランキング」関連記事「業界トップのIT力」)。ユーザー企業のIT活用状況を「IT力」として数値化しランキングを作る企画で、2006年に続き2回目の取り組みである。IT力を算出するために、2007年7月から9月にかけて実施したアンケート調査では、冒頭のような旬の話題についても聞いた。

 2007年の終わりが近づいた今、この1年を振り返りながら、調査に協力してくれた大手企業270社の回答から浮かび上がった注目の事実を紹介する。

「そんなの関係ねぇ」と判断された新製品、新技術

 まずは、多くの企業が採用に消極的だった新製品や新技術から。筆頭は、出荷開始から1年が経過した「Windows Vista」である。同製品を導入する予定がない企業は16.7%。同OS上で自社開発したアプリケーションの動作検証を始めていない企業は37.0%に達した。動作検証を終えた企業は5.9%しかなかった。

 「NGN(次世代ネットワーク)」の利用を検討している企業は18.5%にとどまった。24.1%が、検討予定なしと回答。9.3%はNGNという言葉すら知らないという結果となった。

 「SNS」や「社内ブログ」を導入している企業は15.9%。59.3%は、導入予定がないと答えた。大手企業では、なかなか普及していないのが実態のようだ。

 「サービス指向アーキテクチャ(SOA)」も苦戦中だ。すでに業務システムにSOAの考え方を取り入れた企業は6.3%だけ。「現在システム化を実施中」「今後システム化が決まっている」と答えた企業を加えても、SOA導入に積極的なのは15.9%にとどまった。導入を検討中が最大の57.0%。22.6%は「まったく必要性を感じない」という。

文書化は「どんだけぇ~」、オフショア開発も伸びず

 2007年は、日本版SOX法(J-SOX)の準備が大詰めを迎えた年でもあった。2008年4月以降に始まる事業年度から適用開始されるとあって、大手企業は内部統制には積極的な姿勢を見せた。

 例えば、IT全般統制にかかわる従業員に、内部統制の確立に向けた教育を実施している企業は35.2%。さらに37.4%が2007年度中に実施する予定と答えた。実施する予定がない企業は7.0%だけだった。

 これに対し、システム企画・開発・運用保守など、情報システム関連業務にかかわるプロセスをすべて文書化し、作業をモニタリングしている企業は、17.8%にとどまった。調査期間が7~9月だったことを考えると、現在は文書化作業のピークを迎えているのかもしれない。

 文書化が不十分だったり、開発プロセスの定義があいまいな現状は、オフショア開発の阻害要因にもなっている。中国やインドなどのITベンダーにシステム開発を委託する予定がない企業は70.0%。システム開発を直接発注したことがあるのは23.3%にとどまった。

「2007年問題」は終わらない、人材育成は大きな課題

 団塊世代の大量退職によってベテラン技術者のノウハウが消失されるリスクを指摘した、いわゆる「ITの西暦2007年問題」は、乗り越えられたのか。それとも杞憂に終わったのか。あるいは問題が先送りになったのか。実情は企業によって異なるだろうが、IT部員の人材育成は各社共通の課題だ。

 人材の育成にはキャリアパスの定義や処遇の決定といった準備が欠かせない。にもかかわらず、ITSSなどのスキル・レベルに応じて、IT部員の処遇を決める制度があると答えた企業は11.5%だけだった。75.2%が、スキルに応じた処遇を決める制度を作る予定はないという。IT部員のプロフェッショナル化は、なかなか進んでいないのが現状だ。

 一方で、過去に、IT部門の人材を他社に引き抜かれたことがある企業は20.0%に達した。IT部員の人材流動化は、少しずつ進んでいるようだ。

IT投資の回収期間は平均3.2年

 IT投資の管理に関する調査結果も紹介しよう。2006年度におけるIT投資のうち、「新システムの構築や既存システムの再構築」にかかる費用の割合は、回答があった164社の平均で36.9%だった。残りが「既存システムの運用や部分的な修整」である。50.0%の企業が、データセンターの集約を終えているなど、運用・保守の効率化は着実に進んでいる。

 IT投資の管理に「回収期間法」を利用している89社を見ると、平均3.2年で回収するルールとなっていることが分かった。

 連結決算で会計監査を受ける財務諸表の作成に必要な数値をそろえるのにかかる日数は、回答した199社の平均で22.0日だった。27.8%の企業が10~20日で用意できる。10日以内にそろえられるところも15.9%あった。

5社に1社で情報漏洩、御社の実態は

 最後に、調査期間の2007年7~9月からさかのぼって過去1年間に、企業の内部あるいは委託先で情報漏洩が発覚した企業は20.4%に上った。大手企業の5社に1社が、何らかのトラブルを経験したことになる。

 以上が2007年の大手企業270社におけるIT活用状況の実態だ。御社の実態はいかがだっただろうか。