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 パソコンを買い換えて,それまで使っていた環境を移し替えた経験がある人なら,「買ってきたらすぐに,これまでと同じように使えるパソコンがほしい」と思ったことがあるだろう。それでも,新しいパソコンのOSが使っていたパソコンのものと同じだったら,作業はまだ楽だ。新しいパソコンのOSがバージョンアップされていると,環境を移行する手間はさらに大変になる。加えて,それまで使っていたアプリケーション・ソフトをバージョンアップしたり,買い換える必要が出てくる。そうなると,費用もかさんでしまう。

 筆者が自宅でパソコンを買い換えるのは,ほぼ5年に一度である。一昨年に買い換えたときには,Windows MeからWindows XPへの移行にあたっていた。Meパソコン購入当時に買ったアプリケーション・ソフトのいくつかは動かず,改めて購入する必要があった。

 企業においても同じことが言える。パソコンのハードウエアがいくら安くなったとしても,移行の際に発生する手間(企業の場合はおカネと同義だ)や,ソフトを購入する費用を考えると,よほどのメリットがあるか,相当にのっぴきならない状況にならなければ,おいそれとは移行を決断できない。ITproが2007年12月実施したアンケート調査において,勤務先のパソコンですでにWindows Vistaを導入していると回答した人が回答者全体の3%に過ぎず,Vistaの導入予定がないと答えた人が56%に達したのもうなずける。

業務利用に向け着実に足固めするAdobe AIR

 そこで,環境に依存しない,すなわち“シン”であり,かつ使い勝手がよい,つまりリッチなクライアントがほしい,となるわけだ。そうしたニーズに対して,現在,注目されているのが,米アドビシステムズのAdobe AIR(Adobe Integrated Runtime)と,米マイクロソフトのSilverlightである。

 いずれもクロスプラットフォームのアプリケーション開発実行基盤で,どんなOSやブラウザ上でも同じアプリケーション・ソフトが動作することを目指す。Adobe AIRやSilverlightをインストールしておけば,パソコンを買い換えても同じソフトを使い続けられるということだ。Adobe AIRとSilverlightはさらに,リッチクライアントの実現も売りにしており,Windowsアプリケーションに見劣りしないGUIや操作性が可能になるという。

 Adobe AIRは2007年12月にベータ3がリリースされた。一方のSilverlightは,API追加などの機能強化をしたバージョン2.0が2008年内にリリースされる予定だ。アドビはAdobe AIRに関して,Adobe AIR上で動作するワープロ・ソフトを開発した企業を買収したり,独SAPの業務アプリケーション・クライアントAdobe AIR版の年内リリースを発表するなど,すでに業務利用への足固めを進めている。

 マイクロソフトに関しては,こうした動きはまだ,あまり聞こえてこないが,筆者としてはOfficeソフトのSilverlight版をオンライン・サービスで提供してほしいと思う。オンライン・ストレージ・サービスなどと併用すれば,まさに,シンで,リッチなクライアントが実現するからだ。マイクロソフトのオンライン・サービスWindows Liveで,ぜひ検討してほしいところだ。