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6月22日,大前研一氏に会う

 「今,一番勉強しなければならないのに,一番勉強ができない環境に置かれているのは誰か。30代だ。彼ら彼女らはビジネスの最前線にいて,学生時代とは比べものにならないほど様々な知識を吸収している。異なる仕事をしている30代がお互いの知識知見を披露し,考え,議論する場が必要なのだが,忙しい30代が大学院に戻ることは難しい」。

 ビジネス・ブレークスルー大学院大学の大前研一学長の持論である。この話は以前の取材でも伺ったことがあった(関連記事『「日本の最大の弱点」とその解消法』。だが,6月22日の取材における大前氏の迫力は大変なものだった。

 その理由は,22日の取材が通常のインタビューではなく,撮影であったこと。筆者が編集責任者をしている経営とITサイトで,動画番組を作ることになり,大前氏に出演を依頼,快諾頂いた。経営とITサイトで公開した『誰でもプロフェッショナルを目指せる』という記事が多くの読者に読まれたので,その動画版を企画したのだ。

 応接室に入ってきた大前学長はビデオカメラの真正面にどんと座り,「さてどうやりますか」と聞いてきた。「今日はカメラ目線で」と言うと,「カメラ目線ね。分かりました」と答え,それ以降,ずっとカメラをにらみ続けた。30分の取材で筆者がした質問は二つだけ。最初の質問に大前学長は15分回答,二番目の質問に5分答えた。どちらも論旨明快,言いよどむことも話の重複も視線が彷徨うことも一切なし。大変な集中力である。

 撮影終了後,「対面取材とは違って,凄い迫力でした」と言うと,大前氏はカメラのほうを振り返り,「カメラの先にいる皆さんに向かって今日は話したからね」と言った。この超迫力映像は近日公開予定であるので,ご期待頂きたい。

すべてはビジネスのために

 本稿の冒頭に,「この6月,60代のプロフェッショナル4人にお目にかかる機会があった。(中略)4人の話を伺っていて,全員が同じ姿勢であることに気付いた」と書いた。もうお分かりと思うが,同じ姿勢とは「ビジネス指向」ということである。

 ソルティス氏は「世界で最も使いやすいビジネスコンピューターを設計する」というビジョンを掲げてS/38を設計した。ユーザー企業に転じた有賀氏は「システム指向ではなくビジネス指向に切り替えなければ」と自戒する。RHJインターナショナルという投資会社から,ITに近い世界に戻ってきた倉重氏も徹底したビジネス指向を打ち出す。大前氏は「技術者がビジネスを学べばもっと強くなれる」と強調する。

 ただし4人とも「ITよりビジネス」と言っているわけではない。ビジネス指向を徹底すると,それはすなわちIT利用の徹底につながる。ソルティス氏は「顧客に技術面の雑務をさせない」ためにどうすればよいかを考え抜き,S/38の内部にオブジェクト指向,仮想化といった技術を30年前に詰め込んだ。有賀氏も倉重氏も,必要なら最先端のITを徹底利用するだろう。大前氏は撮影終盤,「私は技術おたくです」と笑いながら切り出し,自らが設計したインターネット大学院のシステムについて熱弁をふるった。