PR

 「中国人のものの考え方を知らずに,中国でのビジネスが成功すると思う?」「企業のM&A(合併と買収)の成否が何で決まるかというと…」「そもそもIT戦略というときの“戦略”って何?」――。

 最近,“非・IT系サイト”で記事を連載している執筆者の方々にお会いする機会があり,こんなやり取りをしたり,問いを投げかけられたりした。今秋に開催するイベント(ITpro EXPO 2008 Autumn)での講演を依頼するために,それぞれのオフィスを訪ねたときのことだ。

 非・IT系サイトというのは,日経ビジネスのオンライン媒体であるNBonlineのこと。IT系サイトのITproに所属する筆者が,ビジネス系サイトであるNBonlineの執筆者に,講演をお願いして回ったのには理由がある。これまで全く異なる世界で情報を発信してきたITproとNBonlineが,コラボレーションによる新たな形の情報提供を模索し始めたからだ。

 コラボレーションという取り組み自体は媒体間(組織間)の話だが,筆者個人にとっても今回の経験は想像以上に刺激的だった。

 正直いうと,これまでNBonlineの世界はそんなに“遠くない”と思っていた。日頃から内部統制ERM(エンタープライズ・リスク・マネジメント)グローバル・ソーシングといった分野のサイト運営やイベントにかかわっていることもあり,常に「企業経営や事業運営,業務遂行にどう生かすのか」という視点でITを見ているつもりだったからだ。

 しかし今回の経験で,ビジネスとITとのかかわりを考えることと,ビジネスそのもののあり方や動きについて考えることは,(当たり前だが)違うということに気づかされた。お会いした方々の過去の記事もじっくり読んでみて,その思いはより強くなった。

 勉強不足だと言われれば全くその通りなのだが,いったんITを脇においてビジネスそのものの実態やあるべき姿をとらえ,そのうえでITをどう位置づけるかを考えることが,とても大事なことだと思えるようになった。その感覚が刺激的だったのである。

 例えば,今回お会いした一人(コンサルタント)は以前掲載した記事のなかで,ITの問題を解決するために“IT以外”に目を向け,経営そのものの有り様をよく観察することの重要性を説いている。

 一例として紹介しているのが,経営統合が決まった企業同士のIT統合の進捗遅れである。当事者の一方である企業のシステム部長は,なぜ遅れるか悩んだ末に外部のアドバイザーに診断してもらった。その結果,IT統合プロジェクト自体に大きな問題はないことが分かった。にもかわらず遅れるのはなぜか。

 実は,IT以外(人事,業務,商品・サービス)の統合プロジェクトが停滞しており,各プロジェクトを横断的に調整する委員会も十分に機能していないことが分かったという。さらに,経営統合する両社の間で「対等統合か,吸収合併か」「簡単な統合か,困難な統合か」ということに関する“意識のズレ”が浮かび上がった。これが意思決定のあいまいさや,委員会の調整不足につながっていることが明らかになった。

 こうした構造にメスを入れない限り,いくらIT統合プロジェクトの内部だけで改善に努めても,常に遅延が発生したり拡大したりする危険性を抱えていることになる。「ITの問題を解決するために“IT以外”に目を向け」なければならないわけだ。

 これはほんの一例だが,この記事の執筆者には講演で「ビジネスとIT」の世界で常識とされることに疑問を投げかけ,“ウソを暴いて”いただく予定である。ITpro EXPOでは,あと二人のNBonline執筆者にも,それぞれ「中国」と「M&A」を題材にして“ITありき”ではない視点から,新鮮な話題を提供していただく。詳細については,近くITpro EXPO 2008 Autumnのプログラムとして発表するので,ぜひご期待いただきたい。

 ただ,ITproに身を置く筆者が「新鮮だ」「刺激的だ」と騒いでいるだけでは,読者は冷めるばかりかもしれない。だから今後は,今回の企画を発端にしてNBonlineとのコラボレーションに磨きをかけ,ITproの読者やITpro EXPOの来場者に,心から新鮮だ,刺激的だと思っていただけるような情報発信に務めていくことが責務だと考えている。そのためにも「ITの枠からはみ出て,初めて見えること」が何かを考えていきたい。