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 子供の携帯電話利用を法律で規制してはどうかという議論があるが,それより前に,大人のノートPC利用を法規制すべきである。ノートPCは利用者にとっても,企業にとっても危険な存在だから,社外への持ち出し禁止は当然として,家庭における利用も止めさせる必要がある。

 ノートPCは情報漏洩の元凶であり,企業がその利用を制限するのは当然と言える。さらにあまり指摘されないことだが,ノートPCは利用者の健康を心身両面から損なう危険な道具であり,できれば触らないほうがよい。まず,精神面から見ると,ノートPCは明らかに利用者の心に悪影響を与える。

いつでも,どこでも,仕事ができる

 ノートPCを持ち歩けば,365日24時間,どこにいても仕事ができる。便利だが,気が休まる時が無くなる。事業をグローバルに展開している企業の社員には,国内外から電子メールが引っ切り無しに送られてくる。CEO(最高経営責任者)自らノートPCを持ち歩き,全世界の営業担当者の活動を監視している企業もある。こうした企業の営業担当者は,枕元にノートPCを置き,起床時や就寝時に電子メールを必ず確認している。業績は向上するかもしれないが,社員の心の健康に良いとは言えない。

 社内でノートPCを持ち歩けば,会議中に複数の仕事ができる。定例会議で上司の長話を聞いている振りをしながら,報告書を作ったり,業務連絡のメールを送れるし,社員同士でチャットも可能だ。真面目に使えば仕事の生産性は上がるだろうが,その分,頭を酷使するので精神衛生上よろしくない。

 仕事が定時までに終わらなかった場合,ノートPCに書きかけの報告書や計算途中のグラフなどを入れ,自宅に持って帰ることができる。こうすれば翌朝まで思う存分仕事ができるが,これまた気が休まらない。金曜の夜,一杯飲んでから帰宅したいと思っても,ノートPCを抱えていては落ち着いて飲めない。万が一,酔っ払ってノートPCを無くしたら,それだけで情報漏洩事件として新聞に載りかねないからだ。中途半端な飲酒はかえってストレスを増す。といって,飲まないで帰ってもストレスにつながる。

 土曜や日曜にノートPCを使って家で仕事をすると,まとまった時間に集中できるので案外はかどるものだ。だが,家庭の雰囲気は確実に悪くなり,結果として本人はもちろん,家族全員の精神に悪影響を与える。ノートPCを作っている大手コンピュータ・メーカーの経営トップに聞いた話だが,一週間ほど夏休みをとって,ご夫人と海外旅行に出かけたものの,ノートPCで四六時中メールを確認していたため,「来年の夏休みにはノートPCをお持ちにならないで下さい」と言い渡されたという。

 家族からすると,亭主や父親が自宅で背中を丸めて小さなノートPCに向かっている姿はけっして美しくない。何と言っても,あのカチャカチャというキーボード操作の音が耳障りである。自宅に無線LANを設置し,親子の間で電子メールを送り合う家族もあると聞くが,寂しい話だ。