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 マイクロソフトは2008年8月30日,家庭内/SOHO向けのサーバーOS「Windows Home Server日本語版」を発売した。秋葉原では,多くの店舗が発売記念セールを催し,午前0時から深夜発売を行うショップも現れた。500Gバイトのハード・ディスク2台をセットにして2万円台半ばで予約販売したショップでは,発売1週間前に完売してしまったという。筆者も購入を試みたが,あえなく玉砕した(買えなかった)。

 Windows Home Serverは,インストール後,簡単な手続きだけでファイル共有サーバーとして利用できるOSだ。ユーザーにマイクロソフトが無償でドメイン名を与えてくれるので,外部からアクセスするサーバーとしても使える。ネットワーク内のクライアントのハード・ディスクをまるごとバックアップする機能も持つ。

 しかし,Linux専門誌に所属していた筆者は,家庭内/SOHOといった小規模向けサーバーはLinuxの得意な領域だと思っている。実際に,日経Linux編集では部内サーバーのほとんどをLinuxで構築している。Linuxを選んでいるのは,「日経Linux」という看板を背負っている建前だけの理由ではない。本音から言っても,予算の少ない部署ではLinuxを選ばざるを得ない。

 多くのLinuxディストリビューションのライセンス料はタダである。Windowsのサーバー向け製品は,小規模に使うものでも数万円,高いものは10万円を超える。3万円の業務用パソコンの購入許可を得るために上司の顔色をうかがわなければならない状況では,Windowsは買いたくても買えないのである。

 発売時の様子を見る限り,Windows Home Serverは静かなブームになっているようだ。では,いったい誰が使うものだろうか?

2万円台の安さが魅力

写真●マイクロソフトがITpro EXPOで配布したWindows Home Serverの絵本
写真●マイクロソフトがITpro EXPOで配布したWindows Home Serverの絵本
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 「ママ,どうしておうちにサーバーがあるの?」――マイクロソフトは2008年1月に開催されたIT関連の展示会「ITpro EXPO 2008」の中で,こんな絵本(写真)を配布した(関連記事)。Windows Home Serverの販促として用意したものである。絵本はWindows Home Serverが持つ機能をクローズアップしたもので,その中には「ママでもすぐに使える」というメッセージも含まれていた。

 筆者もWindows Home Serverを使ってみたが,インストールから設定まで「いつも使っているLinuxは,なんと面倒なのだろう」とため息が出るほど簡単だった。詳細は,日経Linux2008月11月号の特集2「ホーム・サーバー実力診断」をご覧いただきたい。ふだんWindowsを使っているユーザーなら,戸惑うこともなくファイル共有や自動バックアップなどの設定をこなせるだろう。

 しかし,本当にママを魅了するのは,Windows Home Serverの“安さ”だ。ほかのサーバー向けWindowsと違い,Windows Home Serverなら2万円台で購入できる。これなら,価格にうるさいママたちも検討の範囲に入れてくれるだろう。子供の写真を共有設定して,田舎のおじいちゃんやおばあちゃんにネット経由で見せてあげたい,というママは結構いるはずだ。Linuxはタダとはいえ,Windowsばかり使っているママが飛びつくには勇気がいる。

 ただし,マイクロソフトの戦略には疑問が残る。それは,大手量販店でWindows Home Serverを購入できないことだ。Windows Home Serverは,通常のコンシューマ向け製品と違い,パッケージ販売されない。エプソンダイレクトや日本ヒューレット・パッカードなどのプリインストール・パソコンを通販で購入するか,DSP版と呼ばれる自作ユーザーが使うための特殊な製品をPCパーツ・ショップの店頭で購入するのが,主な購入方法だ。

 「ちょっと使ってみよう」と思うママがPCパーツ・ショップでDSP版を購入する姿を,筆者は想像できない。つまり,このままではホーム・サーバーという分野で,Windows Home ServerはLinuxの脅威にならないだろう。

ホーム・サーバーの裾野が広がればひょっとして

 10月8日発売の日経Linux2008年11月号には,Windows Home Server日本語版を120日間試せる評価版を付けた。マイクロソフトのサイトではインストール・メディア,クライアント用ソフト,リストア用メディアの3枚組で構成するWindows Home Server120日間期間限定評価版を,1050円で販売している。日経Linux11月号に付けたのは,このうちインストール・メディアのみである。

 Windows Home Serverが一般誌などにも登場するようになったおかげで,「ホーム・サーバー」という言葉が一般的になりつつある。Windows Home Serverでホーム・サーバーの裾野が広がれば,もしかするとWindowsだけでなくLinuxを使ってみようかと思うママも増えるかもしれない。

 まずは,多くのママたちにWindows Home Serverでホーム・サーバーを試していただきたい。