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見出し付けでメール全体の見通しをよくする

 一つ目は「テーマごとに見出しを付け,文章を分ける」である。これが四つの鉄則の中で最も重要だ。このメールの用件は大きく二つある。そこでメールの冒頭で報告事項が2点あることを示した上で,「1 画面仕様書レビュー結果の返送時期」「2 次回の定例会の開催日変更」という二つの見出しを立て文章を分けた。こうすることで,読み手にとってメール全体の見通しがよくなり,素早く内容を理解しやすくなる。

 二つ目の「件名を具体的に示す」は主に,読み手がメールの件名一覧画面において読むべきメールを選ぶ際に役立つ。修正前の「報告」ような単純な文言だけでは,開いてみるまで何のメールか分からない。修正後のように,「10/24 人事部青木係長との打ち合わせ結果報告」くらいの具体的な内容を書いておけば,読み手はすぐに読むべきかどうか判断しやすい。

 三つ目の「長い一文を分割する」と四つ目の「結論を明示する」は,修正前のメールの「また,次回の定例会の開催日時は,・・・藤堂課長のご都合をお知らせください」に関するものだ。考えたことをどんどん文章にしていくと,ついつい一文が長くなるもの。長い一文は,読みにくさに直結する。そのためいったんメールを書き終えたら必ず読み直して,長い一文を分割するようしたい。また修正後メールの「(変更した開催日について)藤堂課長のご都合をお知らせください」のように,結論を明示することも重要だ。読み手は,書き手が自分に何を要求しているのかを理解したいと考える。そのため,メールを読んだ上で何をしてほしいのかを明記すると,メールの分かりやすさが高まる。

論理的なコミュニケーションを身に付けよう

 かく言う記者もかつて,分かりにくいメールをしばしば書いて,上司にダメ出しをされた。ここで紹介した鉄則を心がけるようにしてからは,「分かりにくい」と言われることが随分と減った。四つの鉄則はいずれも,さほど難しくないわりに効果が大きいので,ぜひ実践してほしい。

 この記事で取り上げた鉄則は,メールを使った「論理的なコミュニケーション」と言うことができる。論理的なコミュニケーションは,対面での報告,議論,ヒアリングにおいても重要だ。日経SYSTEMSは11月13日(木)に東京・秋葉原において,「ITエンジニアのための『伝える技術・聞く技術』」と題したセミナーを開催する(詳しくは,こちら)。パンネーションズ コンサルティング グループ 安田正氏(代表取締役)が講師を務め,論理的コミュニケーションの実践ノウハウに加えて,演習も行う予定である。ご興味を持たれた方はぜひ参加して,論理的コミュニケーションのスキルを磨いていただきたい。