PR

 創刊1周年を迎えた「日経ネットマーケティング」2008年11月号の特集は、「パソコンvs.ケータイ メルマガ『真価論』」。特に配信企業が増加しているケータイメルマガに着目して取材を進めていくと、タイトルにある「カネは夜落ちる」というフレーズが蘇ってきた。

 「カネは夜落ちる」は、消費が低迷していた1999~2000年に「日経ビジネス」が特集した記事タイトルである。24時間営業を始めたころのジーンズメイトや東京相和銀行(現東京スター銀行)ATM、営業時間を深夜まで延長した食品スーパー各社、「テレホーダイ」で伸びる深夜のネットショッピングなどを事例として紹介していた。

 時は再び消費低迷期に突入。勢いがあったEC(電子商取引)サイトでさえ苦戦しているが、ケータイサイト&メルマガでいち早く売れる仕組みづくりに取り組んだ企業・業界は比較的堅調だ。

 SEO(検索エンジン最適化)で最激戦キーワードの一つである「FX(外国為替証拠金取引)」(関連サイト)。最近、筆者の旧友の間でも始める人がチラホラ現れている。その1人、A氏はもともとマネックス証券に口座を持っていたこともあって、資金移動がしやすいグループ会社のマネックスFXに口座を開いて取引を開始した。

 A氏がちょうど帰宅する午後9時ごろ、A氏のケータイには「マネックスFX速報」が届く。為替取引は自宅のパソコンを使っているが、速報メールはすぐに着信が分かるケータイで受信している。午後9時のメールの内容は、本日発表予定の経済指標の予想値や最新の為替レートなど。米国の経済指標は日本時間午後9時半の発表が多く、それが発表されるやすぐさま速報メールが送られてくる(11月からの冬時間では午後10時半が指標の発表時間になる)。

 この9時半過ぎのメールは、A氏にとってトレード開始の合図でもある。予想値と結果の乖離幅が大きいほど為替は変動しやすく、指標の発表直後は差益を得るチャンスになるからだ(むろん、織り込み済みで動かなかったり、逆に動くこともままある)。

 FX事業者は手数料無料化とスプレッド(売値と買値の差)の縮小競争が激化しているため、こうしたケータイメルマガの迅速な配信が顧客満足度を高め、かつ売買を促進して収益環境を改善するカギを握っている。

ナイトビジネスに効くケータイメルマガ

 A氏のケータイにFX速報メールが届くころ、筆者のケータイにはカラオケBOXから“お誘いメール”が届く。「お仕事お疲れさまです。終電まで歌っていきませんか。22時までにご予約いただくと、室料△%OFF!・・・」。これはカラオケチェーン「歌広場」のケータイメルマガ。以前、店内でQRコードを読み取ってケータイサイト「歌倶楽部」に登録してから送られてくるようになった。

 歌広場は首都圏1都3県に70店舗を展開する大手チェーンだが、登録は店舗単位になっていて、店舗ごとにオリジナルのメルマガを配信している。歌倶楽部の案内ポスターを目立つ位置に張ったり、空き部屋待ちの客に登録を勧めたりと集客に熱心な店舗ほど営業成績も好調だという。

 カラオケをはじめとするナイトビジネスとケータイメルマガは、どうやら相性がいいようだ。

 疲れたサラリーマン戦士たちが急に生き生きした表情で吸い込まれていく繁華街のキャバクラ。筆者は残念ながら酒にめっぽう弱く縁遠いのだが、Webサイトを見るとたいていの店舗でメール会員登録のメニューがあり、登録客にキャストの出勤情報やイベント情報を配信している。指名上位キャストともなれば、常連客に個人的に営業メールを送って集客するワザにも長けている。自分宛のワン・トゥ・ワン・メールであるかのように読めてしまう一斉配信メールは、究極のメールマーケティングと言えるだろう(もっとも、“太客”だった外資系金融マンの羽振りが悪くなったことで、このワザも効き目が薄れているようではある)。