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 先だって、この「記者の眼」欄で情報システムの“うっかりミス”について書き、読者の皆様にアンケートをお願いした(関連記事『「うっかりミス」は叱っても減らない』。ここでいう、うっかりミスとは、システムの操作ミスやパラメータ設定の誤りなどを指す。アンケート回答の受付期間が1週間と短かったにもかかわらず、184件もの有効回答を頂いた。この場を借りて御礼を申し上げるとともに回答結果と読者から寄せられたコメントを公表する。

 アンケートの目的は、読者の皆様が実際に体験した、あるいは職場などで見聞きした、うっかりミスの具体例と発生原因、対策を共有することである。うっかりミスの再発を防ぐために具体例の共有が有効だからだ。これは、心理学や失敗学など人間の失敗を研究する専門家の共通認識である。

7割がうっかりミスに直面

 アンケートの最初に、「うっかりミスをしたことがあるか」あるいは「職場で見聞きしたことがあるか」と尋ねた。「ある」という回答は127件、全体の69%に達した。つまり7割の方が、うっかりミスに直面したことになる。

 うっかりミスの具体例をできる限り、書き込んでもらった。それらを見ると、システムの運用操作を間違えるケースが目立った。例えば「開発系やテスト系のデータを削除するつもりが誤って本番系にアクセスして本番データを消した」という回答が複数件あった。

 正常に稼働していたシステムを誤操作によってダウンさせた例も散見された。「あるサーバーを停止するはずが誤って別のサーバーに停止コマンドを投入した」、「パッチファイルを適用する対象を間違えた」といった具合だ。

 データベースのバックアップ操作に関連する操作ミスもあった。「バックアップを取得してからデータを削除するはずがバックアップの前に削除した」、「バックアップを取るはずがリストアした」といった事例である。

 Windows上で動作するシステムの運用時に、「ログオフするつもりがシャットダウンした」という例も挙げられた。Windowsを終了する際の操作画面のデフォルト表示がシャットダウンであったにもかかわらず、ログオフが表示されていると思い込み、そのまま操作したためである。通常時は常にログオフを選んでいたが、たまたま前日にシャットダウン操作をしたためデフォルト表示が変わっていたが気付かなかった。

掃除機がサーバーを止めた例も

 読者から寄せられたうっかりミスには風変わりなものもあった。一つは忘れ物である。「就業時間外にシステム障害が発生しデータセンターにかけつけたが入館証を自宅に忘れマシンルームに入れなかった」ため、復旧の遅れにつながったという。

 「掃除機をかけ始めたら電力不足になりサーバーがダウンした」という事例もあった。「UPS(無停電電源装置)がサーバーより掃除機を優先して給電した」ためである。「UPSは電力切れを知らせる警告音を発したが掃除機の音にかき消された」そうだ。笑い話のようだが、サーバーを止めてしまったわけで笑うわけにはいかない。

 読者から寄せられた、うっかりミスの事例は様々であったが、どの事例もミスを誘発するなんらかの要因があったという点が共通していた。

 開発系システムと本番系システムを取り違えた事例では、両者の見分けがつきにくかったことが要因となった。本番系のサーバー名が「APSV001H」で、開発系が「APSV001K」といった具合に1文字しか違わなかったり、運用画面の色使いやデザインがほぼ同じだったため、うっかりミスをしたという回答が実際にあった。

 開発系システムの名称や画面を本番系になるべく近づけたほうが、開発作業やテストがスムーズに進むので、似てしまうのは仕方がない。ただし、これがミスを招く要因になっていることは事実である。