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 「IT部門の社内的な地位や存在感を高めよう」。日経情報ストラテジーは15年以上にわたり、CIO(最高情報責任者)へのインタビューなどの記事を通じて、このメッセージとIT活用推進のヒントを報じ続けてきた。未曾有の経済危機といわれ新規のIT投資が手控えられがちな今だからこそ、このメッセージを改めて強く発信したい。

IT部門は全体最適の視点を得やすい

 IT戦略責任者がどんな地位の人であるかは、企業によって様々だ。IT部門長やIT担当役員である場合もあれば、社長自身が務める場合もある。

 彼ら・彼女らが必ずしもIT部門での業務経験を持つわけではない。日経情報ストラテジーが2008年10~11月に実施した調査によると、CIOに相当するIT担当役員を置く企業は58.0%。IT担当役員のうち、IT部門での業務経験がなかったのは75.7%に上った。本誌2009年3月号の特集記事向けに実施したこの調査は、上場企業と有力企業の計4000社にアンケートで依頼、369社から回答を得た。
 
 企業が現状よりも良い組織になるためには、全体最適の視点を持って組織や業務プロセスの改革・改善を促すことが欠かせない。その役割をIT部門が担ってみてはどうか。様々なITプロジェクトやシステムを通じて、IT部門は社内のすべての業務や社員と触れ合う機会を持つため、IT部門は自然と全体最適の視点を得やすいからだ。

 前述の調査でも、IT戦略責任者のおよそ9割が「IT部門は経営陣から業務プロセス革新の担い手になってほしいと期待されている」と回答した。その内訳は、リーダー役としての活躍への期待が33.9%、サポーター役としての活躍への期待が56.4%となっている。

「常設の業務革新部門だ」と周知させる

 だが、IT部門が業務プロセス革新の担い手として活躍するためには、乗り越えるべき高いハードルがある。社内のすべての業務に対する現場感覚を、組織としていかにして身につけるかという点だ。

 IT部門が現場感覚を養う方法として最も汎用的なものは、IT部門と利用部門との間の頻繁な人事異動だろう。ところが現実に目を向けてみると、利用部門に所属する社員の多くはIT部門を異動希望先として見ていない。

 従来のIT部門の多くは高度な専門知識を要求するのに加え、売り上げに直結する仕事をしてこなかった。このため、営業部門や経営企画部門、商品企画部門のような花形部門としてIT部門をとらえる人は少ない。そんな状況下で利用部門の社員をIT部門に無理に異動させても、本人のやる気を削ぎ、成長の芽を摘んでしまいかねない。

 そこで冒頭のメッセージである。IT部門の社内的な地位を高め、利用部門の多くの社員にとってIT部門を魅力的な異動先に変貌させるのだ。

 具体的には、「IT部門を経験すれば全体最適の視点と幅広い人脈を築くことに役立ち、キャリア開発上の重要なステップになる」ことや、「ITスキルが高くなくてもIT部門で活躍できる」ことを社内に周知させる。IT部門の人材ポートフォリオを見直し、利用部門の業務に詳しい人材とITに詳しい人材がタッグを組んで、社内の多様な業務革新プロジェクトに臨める体制にする。

 これらの方策により、時にはITを使わない業務革新策を打ち出せるレベルまでIT部門を“進化”させることが大切である。加えて、利用部門からIT部門に異動してきた人材が利用部門に戻った時に、利用部門で重要な業務を担当できるようにする必要もあるだろう。

 多くの企業が従来、全社の業績が悪化するたびに期間限定で「業務革新室」を設けて、社内の様々な業務の品質を高めつつ経費を低減させる施策に取り組んできた。しかし、半年から1年と短期間しか存在しない部署が音頭をとって業務改革や業務改善を促しても、改革や改善のノウハウは組織的に継承されず、改革や改善の取り組み自体が忘れ去られてしまいかねない。

 そんな無駄を無くすためにも、IT部門は「常設の業務革新部門」としての活動をより強化すべきだ。その上で、「常設の業務革新部門」であることを、もっと社内に周知してみてはいかがだろうか。