PR

 自動車を複数のユーザーが共同利用する「カーシェアリング」。今,大手企業のカーシェアリング事業参入が相次いでいる。このようなカーシェアリング市場拡大の動きは,IT業界にとっても追い風になりそうだ。

「自動車」「レンタル」「土地」の3要素が必要

 先日,駐車場「Times」を運営するパーク24社長の西川光一氏と中古車販売のガリバー・インターナショナル社長の羽鳥兼市氏にインタビューする機会があった。パーク24は2009年3月に,ガリバー・インターナショナルは同4月にカーシェアリング事業に参入したばかりだ。

 カーシェアリング事業には,集合住宅に導入する「マンション・モデル」と,街中にステーションを設置する「街中モデル」があるが,新規参入の2社は,ともに街中モデルでの展開を狙っているようだ。

 西川氏も羽鳥氏も,カーシェアリング事業の要素は「自動車」「レンタル」「土地」の3つだと話す。「自動車」はカーシェアリングのためのシステムを搭載した車両,「レンタル」は車のレンタルに関する法律や事務処理,メンテナンスに関するシステムやノウハウ,「土地」は駐車場である。

 パーク24は全国約8700カ所に駐車場を展開し,「土地」の要素に関しては抜群の競争力があるように思われる。さらに2009年3月にマツダレンタカーを買収したことで,「自動車」と「レンタル」の要素も一気に手に入れた。西川氏は,「3要素のうち,日本で最もコストが高いのは“土地”。土地を持っていなければ,カーシェアリング事業は成り立たないではないか」と,カーシェアリング事業の成功に自信をみせる。

 西川氏の言うように,特に街中モデルを展開する際には,利便性の良い場所に適当な価格で駐車場を確保できるかが課題となる。カーシェアリングで先行したレンタカー事業者が,「自動車」と「レンタル」を備えながらもシェア拡大に至らなかったのは,「土地」の確保に難航したことが一因だろう。

将来は電気自動車のシェアリングも

 一方,ガリバーは,賃貸マンション管理事業者と業務提携し,賃貸マンションの駐車場を利用するという新しいアイデアで「土地」を確保した。

 ガリバーの強みは,全国に仕入れのネットワークを持つ「自動車」だろう。現在のカーシェアリング・サービスは車種を自由に選択できないことが多く,車自体に関する楽しみは少ない。カーシェアリング最大手のオリックス自動車はズスキのカーシェアリング専用車が中心だし,パーク24はマツダのコンパクトカーが中心になりそうだ。

 今回のインタビューで羽鳥氏は,カーシェアリング・サービスで利用できる車種について具体的には示さなかったものの,「世の中には面白い車がたくさんある。いろいろな車種に乗れる仕組みを作りたい」と語る。「自動車」の強みを生かしたサービス拡充に期待が持てそうだ。

 西川氏と羽鳥氏が共通して考えているのは,電気自動車のカーシェアリングである。短時間の短距離走行,利用後はステーションに戻すというカーシェアリングは,充電が必要な電気自動車の使い方として適している。

 電気自動車の普及に関しては,充電インフラの整備がボトルネックだと言われている。西川氏はこれに関して,「3カ月あれば,Timesのすべての駐車場に充電インフラを設置できる」と話す。

 カーシェアリング市場の拡大は,IT業界にもビジネス・チャンスをもたらす。予約システムや,ICカードで車のキーボックスやドアを開けるシステム,貸し出し中の車両の位置情報管理など,カーシェアリング・サービスでITの担う役割は大きいからだ。

 市場の拡大に伴い,システムの利便性向上やセキュリティの確保などの需要も増加しそうだ。また,同一車種・同一仕様で提供されることが多いカーシェアリング用車両は,衝突防止や渋滞情報の共有など,様々な車両間通信サービスの導入に最適だと思う。IT関係者も,今後のカーシェアリング市場に注目する必要があるだろう。