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(2)ベンダーの独自仕様
Webサービスを標準採用し,専用アダプタを不要に

 従来のEAIツールにおける大きな問題の一つに,ベンダーごとの独自仕様に基づいてメッセージングをしていたことがある。独自仕様の問題点の一つは,接続するシステムごとに,ツール・ベンダーが提供する比較的高価な「アダプタ」が必要になることだ。アダプタとは,プロトコル形式を変換するコンポーネントで,システムと接続する部分に利用する。手組みのシステムではアダプタを利用して連携部分を開発する必要があるが,独自仕様であるだけに,その仕様に精通したITエンジニアの絶対数が少ない。

 もう一つは,ベンダー間でEAIツールの互換性がないこと。近年,関連会社との連結経営を強化するため互いのシステムを連携させる企業が増えている。そのときに関連会社が異なるベンダーのEAIツールを使っていると,巨額の費用を投じて刷新する羽目になる。

ESBではアダプタが不要に

 一方ESBでは,「Webサービス」という標準仕様を導入し,連携させるシステムのインタフェースの互換性を保っている。連携させるシステムがWebサービスのインタフェースを備えていれば,どのベンダーのESBにも接続できる(表1)。

表1●ESBが対応するWebサービスのプロトコル
表1●ESBが対応するWebサービスのプロトコル
ESBでは,Webサービス標準であるSOAPやWSDLが利用可能である。ただしメッセージの送達保証や障害処理などの付加的な機能は,セキュリティなどを除いてまだ標準と呼べる仕様が定まっておらず,ESBのツール・ベンダー各社がデファクトに近いと判断した仕様や独自の仕様を採用しているのが現状だ(この表は米Sonic Softwareの「Sonic ESB 7.0」が採用している仕様)
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