PR

個人向けと企業向けで異なる特徴

 今度は,個人向けと企業向けという切り口で,KVMスイッチの特徴を見ていこう。

 個人向けは,おもに個人で所有する数台のパソコンを切り替えるのに使われる。手が届く範囲である机の上や足下に置くため,コンパクトに作られている。また,主要ターゲットが一般ユーザーなので,デザインを重視したきょう体になっている。分類上は,(A)の小型・短距離製品に該当する。

 個人向けの製品で特徴的なのは,ディスプレイとのインタフェースである。大画面のディスプレイに高画質の画像を出力するようにいろいろな工夫を施しているという。また,VGA以外にDVIに対応する製品も多い。

写真1●サーバー・ルームのコンソールには1Uに収まるドロワーを使う
写真1●サーバー・ルームのコンソールには1Uに収まるドロワーを使う
実在するドロワーの例。一見ノート・パソコンに見えるが,実はキーボード,マウス,液晶ディスプレイを1Uサイズにまとめた装置。使わないときは1Uに折りたたみ,ラックに収納しておく。ラックから引き出すとディスプレイが開き,使える状態になる。

 一方,企業向けは,おもにサーバーが操作対象である。1台のKVMスイッチで切り替えられる台数は,8~64台と広い範囲にわたる。さらに,複数のスイッチを束ねて1台のように扱える機能を持つ製品もある。そのような製品の中には,1セットのコンソールから最大1万台以上のサーバーを操作できるものもある。

 きょう体の大きさは,サーバー用の1Uラックに収まるように,1Uサイズに作られている。一つのラックに1台のKVMスイッチを入れ,残りのスペースにサーバーを入れるといった使い方が一般的だ。

 なお,ラック内のKVMスイッチとよく併用されるのが「ドロワー(引き出しの意味)」と呼ばれる製品である(写真1)。一見するとノート・パソコンのようだが,これは,キーボード,マウス,液晶ディスプレイを一体化したコンソールである。使わないときにはラックに収納しておく。


アナログとディジタルの2タイプ

 動作原理からKVMスイッチを見ると,「アナログKVMスイッチ」と「ディジタルKVMスイッチ」の2種類に分けられる(図2)。

図2●信号の伝送方法に応じて接続距離が異なる
図2●信号の伝送方法に応じて接続距離が異なる
KVMスイッチは,アナログ信号をそのまま伝送する「アナログKVMスイッチ」と,信号をIPパケットにして伝送する「ディジタルKVMスイッチ」がある。もともとは,(a)の「一般ケーブル型」のように5m程度のサーバーを切り替えるのに使われていた。その後,サーバー・ルーム外のコンソールからサーバーを切り替えるために,LANケーブルで延長する方式「LANケーブル型」が開発された。さらに,遠隔地からサーバーを操作するために,ディジタルKVMスイッチが登場した。
[画像のクリックで拡大表示]

 アナログKVMスイッチは,コンソールとKVMスイッチの間,あるいはコンピュータとKVMスイッチの間でビデオ信号やキーボードとマウスの操作信号をそのまま伝送するタイプのことを指す(図2のa)。アナログKVMはさらに,通常のケーブルを使って信号を伝える「一般ケーブル型」と,LANケーブルを使う「LANケーブル型」に分けられる。後者のLANケーブル型は,「KVMエクステンダ」や「KVMモジュール」と呼ばれる一種の信号変換装置を併用する。

 一方のディジタルKVMスイッチは,ビデオ信号や操作信号をIPパケットにして伝送するタイプのKVMスイッチである(図2のb)。

 これらの動作原理は,操作対象となるコンピュータまでの距離と台数に関係してくる。分類上は,アナログKVMスイッチのうち,図2(a)の一般ケーブル型に相当するのが(A)小型・短距離と(B)中型・短距離,LANケーブル型に相当するのが(C)大型・中距離である。また,ディジタルKVMスイッチは,(D)長距離に当たる。