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スイッチを束ねて接続台数を増やす

 大型のKVMスイッチでも,1台のスイッチに直接接続できるサーバーの台数は最大64台に限られる。しかし,複数台のKVMスイッチを束ねて1台として動作させる機能を使うことで,より多くのサーバーを1度に接続できる。

 KVMスイッチを束ねる方法には,「カスケード方式」と「デイジー・チェーン方式」がある。

 カスケード方式は,KVMスイッチの配下に本来なら操作対象のサーバーをつなぐところを,さらにKVMスイッチをつないでいく。こうしてKVMスイッチを多段に接続して,最下段のKVMスイッチにサーバーをつなぐ。

 この方式は,KVMスイッチを追加していくだけで簡単にサーバーの接続台数を増やせるというメリットがある。その半面,サーバーをつなぐべきポートをKVMスイッチでふさいでしまうことになる。

 デイジー・チェーン方式は,KVMスイッチ同士をつなぐ専用ポートを使って,複数のKVMスイッチを束ねる。当然,そのような専用ポートを備える製品を使わなければならない。この方法は,接続するサーバーの台数が多い場合に向いている。

一般のLANケーブルだと色ズレする

 アナログKVMスイッチで距離を延長するにはLANケーブルを使うが,伝送方式にイーサネットを利用しているわけではない。実は,LANケーブルの心線を使って,アナログの信号をそのまま伝送しているのである。

 LANケーブルは,2本1対のメタル心線をより合わせたより対線を,4対束ねて作られている。4対のうち,3対をビデオ信号,1対をキーボードとマウスの操作信号の伝送に使う。ビデオ信号については,R信号,G信号,B信号をそれぞれ1対ずつで送っている(図3)。こうした基本的なしくみは,どのベンダーも同じだ。

図3●KVMのアナログ信号の伝送にLANケーブルの心線を利用
図3●KVMのアナログ信号の伝送にLANケーブルの心線を利用
アナログKVMスイッチがLANケーブルで距離を延長するカラクリは,LANケーブルの心線にビデオ信号やマウスとキーボードの制御信号を流すというもの。  [画像のクリックで拡大表示]

 アナログKVMスイッチ向けに使うLANケーブルは,100Mイーサネットにも使われている「エンハンスト・カテゴリ5」(Cat5e)という種類のLANケーブルが使われる。Cat5eなどの一般的なLANケーブルでは,より対線同士のノイズの影響を抑えるため,よりピッチを変えている。同じLANケーブルの長さでもより対線ごとにメタル心線の実際の長さが違うため,コンソール側に届くまでの遅延時間がR,G,B信号ごとに異なってしまう。これによって,実際にビデオ・ディスプレイに表示される画像に色ズレが起こって見づらくなる現象が起こる。伝送距離が長くなるほど,遅延時間の差が大きくなるため,色ズレが大きくなる。そこで,多くのベンダーは,各より対線のよりピッチが同じに作られている特別なLANケーブルを推奨している

 その一方で,市販されている通常のLANケーブルが使えるような工夫を施した製品もある。例えば,各より対線を流れるR,G,B信号の遅延を補正する回路を組み込むことで,色ズレを抑えるようにしている。

ディジタル型はリモート管理に使える

 ディジタルKVMスイッチは,ビデオ信号やキーボードとマウスの操作信号をIPパケットに変換してやりとりするので,伝送距離の制限がない。基本的にIP通信が可能なすべてのネットワーク上で運用可能ということになる。ディジタルKVMスイッチの登場によって,KVMスイッチはリモート管理ソリューションのキー・デバイスの一つとして注目されるようになった。

 具体的には,本社のオペレーション・ルームからデータ・センターのサーバーを操作するといった使い方ができる。また,小規模な支店や店舗などにサーバーを置いていて,それぞれに管理者を張り付けておく余裕がない,といったケースでもディジタルKVMスイッチによるリモート管理が有効である。

 リモート・デスクトップ・ソフトを使っても似たようなことはできるが,その場合専用ソフトウエアをサーバーにインストールして常に動かしておく必要がある。一般に,サーバー・マシンで余計なソフトウエアを動かすのは,安定性やセキュリティの面から好ましくないとされている。ディジタルKVMスイッチならば,サーバーで新たにソフトウエアをインストールする必要はなく,キーボード,ビデオ・ディスプレイ,マウスをつないだのと同じように扱える。