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データ・センターのサービスが,新たなステージに入りつつある。「場所貸し」中心から,必要なときに必要なサーバー処理能力やネットワーク帯域を利用できる「ユーティリティ型サービス」へとシフト。ユーザーは,データベースなどのミドルウエアまでをオンデマンドで使えるようになる。(大谷 晃司=日経コミュニケーション

 「一時は200社近くまで増えた事業者が,厳しい競争とITバブル崩壊で一気に淘汰された。今は競合と呼べる事業者は十数社。そのせいか,最近はデータ・センターが不足してきている」。あるデータ・センター事業者は日本のデータ・センター事情をこう説明する。

 国内のデータ・センターは,2000年前後に相次いで設立され,ネット企業を中心に採用が進んだ。中核サービスは,サーバー設置スペースを貸し出す「ハウジング・サービス」やWebサーバーなどを貸し出す「ホスティング・サービス」である。

 その後データ・センター事業者は淘汰が進んだものの,データ・センターの需要はポータル・サイトの拡充やネット証券の興隆などによって高まり続けた。最近ではコンシューマ向けの映像配信が活気付いてきたり,ディザスタ・リカバリに取り組む企業が増えるなど,ニーズは増える一方である。

 そこで各社はデータ・センターの拡張と設備の増強に躍起になっている(囲み記事)。いずれの事業者もデータ・センター面積を増床したり,新たなデータ・センターを開設している。ある事業者の調査によると,2006年時点での首都圏のデータ・センターの供給面積は67万平方メートルであり,2010年になると86万平方メートルにまで跳ね上がる。

 ただデータ・センター事業者は,スペースを広げているだけではない。より多くの顧客獲得に向け,付加価値の高いサービス提供を模索し始めている。今,各社が目指しているのは「ユーティリティ型サービス」だ(図1)。

図1●データ・センターの中核サービスはユーティリティ型へ
図1●データ・センターの中核サービスはユーティリティ型へ

ユーティリティ型が基本メニューに

 ここで言うユーティリティ型サービスは,サーバー・リソースやストレージ容量,ネットワーク帯域などを,必要な分だけオンデマンドで利用できるサービス。ユーザーは基本的に,使用量に応じた料金を支払えばよい。

 例えばECサイトなら,アクセス数に合わせてCPUやストレージなどのコンピュータ・リソースを柔軟に増減させることができるため,アクセスが急増してもさばき切れる。企業の基幹システムに適用する場合でも,期末などの繁忙期に応答性能が劣化するようなことはなくなる。

 しかも従来のように,ピーク時の処理量に合わせた膨大なシステム・リソースを抱える必要はない。システムの初期投資を抑えて徐々に拡張していく場合にも,コスト・メリットを得やすい(図2)。いずれ,ユーティリティ型サービスがデータ・センター・サービスの中核メニューになるのは間違いない。

図2●ユーティリティ・コンピューティングのメリット
図2●ユーティリティ・コンピューティングのメリット
ユーティリティ・コンピューティングによって突発的なアクセス増が見込まれるシステムや,将来のユーザー数などの予測が難しいシステムを構築・運用しやすくなる。