PR

固定リソースの割り当て方に違い

 ユーティリティ型サービスの料金は,どの事業者でも月額固定の基本料と従量課金の組み合わせ。常に利用すると考えられるリソースを対象に基本契約を結び,それを超える負荷に対してはオンデマンドでリソースを割り当て,使用量に応じて課金する(図3)。

図3●ユーティリティ・コンピューティングの概念
図3●ユーティリティ・コンピューティングの概念 負荷上昇に応じて,空いているサーバー機やネットワークのリソースを割り当てる。将来はハードウエアだけでなく,データベース管理システムなどのミドルウエアもユーティリティ・サービスの対象になっていく。[画像のクリックで拡大表示]

 ただ,この仕組みを実現する手段は大別して2種類ある。基本契約分のリソースを物理的に固定して割り当てる方法と,すべてのリソースを仮想化しておく方法である。ほとんどのサービスは前者の「個別型」で,事業者は各ユーザー固定のリソースと,オンデマンド利用に向けた共有リソースを別に用意している。

 後者はいわゆるグリッド・コンピューティング技術を使った「グリッド型」で,すべてのサーバーやストレージを仮想的に一つのシステムとして運用。基本契約分のリソースも,空いているリソースからその都度割り当てる。

 個別型では,基本契約分のリソースを物理的に固定するため,事業者が従来通りにシステムを運用・管理できる。トラブル時の切り分けなどを考えると,現時点ではユーザーにとっては安心感が高い。

 半面,ユーザー個別のリソースと共用リソースを別々に用意するため,すべてを共有リソースとしてしまうグリッド型よりも事業者にとってコストがかさむ。結果として,料金が割高になりやすい。

ミドルウエアもオンデマンドで

 今後はオンデマンドで利用できる範囲が,ハードウエアだけでなくWebアプリケーション・サーバーやデータベースなどのミドルウエアにまで広がっていく。ユーザーにとってはソフトウエアを含めてユーティリティとして利用できる方がコスト・メリットを得やすい。ある事業者は,「もはやハードウエアやソフトウエアをユーザー自らが所有する時代ではなくなっている」と強調する。

 今のところ,一部の例外を除いて,ほとんどのユーティリティ型サービスが,CPUやメモリー,ストレージ,ネットワークといったハードウエア部分しか対象にしていない。ミドルウエアはユーザーが別に購入する必要がある。

 各社がハードウエア提供にとどまっているのは,ミドルウエア製品の多くはライセンス体系がCPU単位になっているため。ユーザーに動的にCPUを割り当てるユーティリティ型サービスでは,ミドルウエア分の課金は難しい。

 データ・センター側でCPU数分のライセンスをあらかじめ購入し,ハードウエアの料金に上乗せして課金する手はある。それでも,ミドルウエア分をどう課金すればユーザーにとってリーズナブルになるか,最適解は見えていない。ミドルウエアまでを提供している事業者でも,詳細なライセンス料は非公開だ。

解決に向かうソフトのライセンス

 とはいえ,解決に向けて事業者は模索を始めている。例えば,オープンソースの採用である。ある事業者は,データベースとして,高価な商用製品だけでなくユーザーのコスト負担が低いオープンソースの「My SQL」を利用する。ミドルウエアの料金をユーザーから徴収する必要はない。

 フローティング・ライセンスを適用するという考えもある。購入したライセンス数以下であれば,どのサーバーで稼働させても構わないというライセンス体系である。最近はこの考えをベースに,使った分だけ課金する従量課金型フローティング・ライセンスという概念が登場した。実際に,一部のミドルウエア製品で従量課金型フローティング・ライセンスを用意している例がある。

 現時点では,従量課金型フローティング・ライセンスを採用するミドルウエアはまだ少数派。ただ,流れは従量制に向きつつある。