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【顔】
技術は百花繚乱,用途はこれから

 ドアに向かって歩いていくと,瞬時に本人かどうかが判断されドアが開く。パソコンの前に座ると,正当なユーザーと認識され自動的にログオンできる。顔認証は,このように汎用のカメラを使って簡単に導入できる点で期待を集めている。顔を撮影するため不正を心理的に抑止する効果もあり,他のバイオメトリクス認証方式と併用する際に候補に挙がることが多い。

 期待を集める顔認証だが,開発の焦点は基本的な精度の向上に当たっている。実は,顔認証の精度は他の方式ほど高くはない。照明や表情の変化,加齢による経年変化への耐性が低いためだ。

 特定の向きから強い照明が当たると,顔に陰ができてしまい認証できないことがある。表情の変化は,顔の各部位の形が変化するため登録データとの類似度が極端に低下するおそれがある。加齢による経年変化も,各部位の形が変わってしまうため同じような問題が起こる。

照合方式に決定版なし

顔の照合方法はさまざまな手法があり,主流となるものはまだ見あたらない。

 照合方法は大きく三つに分けられる(図6)。まず,顔全体を照合対象とする手法。顔全体だと変化に弱そうに見えるが,動画像から100枚程度の画像を切り出して特徴量の集合で照合することで精度を高めるといった工夫も可能だ。1枚の画像によって照合する場合に起こり得る“一発モノ”による精度の低下を抑える。また,顔全体のなかでも特徴的な部分の比重を重くして,他人との違いを際立たせる手法もある。

図6●顔認証の照合方法
図6●顔認証の照合方法
顔認証の照合方法は各社でそれぞれ異なる。大きく分類すると,顔全体を照合するもの,局所的に照合するもの,目や口など形が特徴的な部分に点を打って数値化する方法に分けられる。照合アルゴリズムによって,照明などの環境の変化や,加齢などの本人の変化に対応できるように工夫している。
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 二つ目が,顔の局所を照合対象にする方法。登録データと比べて輝度の変化が激しい部分は重み付けを下げたり,削除したりして輝度が近い部分を使って照合スコア(類似度)を算出する。髪などで一部が隠れても,見えている部分で照合が可能だ。

 三つ目が,目や口などの個人差が大きく現れる部分に特徴点を打つ方法である。各特徴点の方向や特徴点間の間隔を数値化して基準となるデータと照合する。顔の向きの変化や照明の影響に強いのが特徴。顔の向きが変わっても特徴点の位置関係は変わらないので,強い照明があたって目や口の輪郭が一部見えなくても,200カ所の特徴点のうち大半の情報は取れるためである。