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 通信サービスを選択するにあたり,考慮すべきパラメータは5つある。具体的には(1)コスト,(2)性能,(3)柔軟性,(4)信頼性,(5)運用性だ。この5つのすべてがほかに比べ優れているサービスというのは残念ながら存在しない。そこで,この5つのうちどれを重視するかが,サービス選択のポイントとなる。

 現時点で,これらのトータル的なバランスが取れているのはIP-VPNか広域イーサネットである。広域イーサネットとIP-VPNは,通信速度あたりの価格,つまりビット単価が下がっている。しかも,仮想的なメッシュネットワークが組めるなど柔軟性も高い。

 事実,市場でもこれらのサービスが伸びている。今後もしばらくはこの傾向は続くだろう。しかし,信頼性や運用性を重視するとなると,少し事情は変わってくる。信頼性という点では,広域イーサネットは専用線にまだまだ及ばない。信頼性重視ならATM専用線やセルリレーを検討することになる。もっとも,今ではそこまで信頼性にこだわる必要のあるユーザーはかなり限られている。

 しかも,今の状況がそうだからといって,これがいつまでも同じとは限らないのが通信サービスの特徴でもある。たとえば,初期の広域イーサネットは,専用線インフラストラクチャ上でイーサネットをWAN環境に拡張しただけのものや,LANの機能に多少拡張を加えただけなど,原始的ともいえる仕組みだった。これが,時の経過と共に改善され,信頼性,拡張性が向上してきた歴史がある。しかも,通信事業者間の競争があるため,信頼性が上がったからといって,価格も上がる可能性は低く,コスト面の優位は変わらない。

 通信事業者も,現在の専用線ユーザーの巻き取りを考えている最中である。たとえば,NTTが展開中のNGNなどもその候補となろう。NTTのNGNサービスは,現在はコンシューマへの対応が最優先だが,並行して企業向けメニューの充実も徐々に進んでくるはずだ。さらに,今後はホスティングやセントレックスなど“Communication as a services”と呼ばれる新しいタイプのサービスも検討材料に加わってくる。

 こうした新しいタイプのサービスが登場しても,その選択には,やはり最初に上げた5つのパラメータが基本となることは変わらない。しかし,技術が日進月歩なため,5つのパラメータの優先度も次々と入れ替わる。ユーザーがシステムを見直すのはアプリケーションが変わるタイミングとなることが多い。3年くらいのスパンとなるケースが普通だろう。その3年の間に技術がどんどん進んでいる訳だから,3年後のシステム検討時にあわてないように,常にサービスの動向をウォッチしておきたい。