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 日経BP社が発行するIT専門雑誌に1980年代以降,登場したITキーワードを10個抜粋し,日本企業に影響を最も与えた時期を「ITpro Researchモニター」に尋ねたところ,今が旬の言葉はSOX法(サーベンス・オクスリー法),旬を過ぎた最も“古い言葉”はSIS(戦略情報システム)となった(図1)。これは,各ITキーワードについてそれぞれ最も旬だった,あるいは旬だと思う時期を「1989年以前」から「2010年以降」までの八つの選択肢から選んでもらい,「1995年以降」の回答比率の大きい順に並べたものである。「言葉を知らない」「影響を与えた(与える)ことはない」および無回答者を除いている(総回収数は1250件)。

図1●10個のITキーワードが日本企業に影響を与えた時期(2007年2月調査)
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 この基準に従うと,古いITキーワードがSIS,BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング),Java,ERP(統合業務パッケージ)であるのに対して,新しいキーワードとしてSOX法,Web2.0,SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス),SEO(検索エンジン最適化)が浮かび上がる。後者には,インターネットの高度利用を前提としたものが多いのが特徴だ。逆に,前者の古い言葉に関しても,その言葉に込められた本質的な意味合いを,インターネットの高度利用という新しい光を照射して見直せば,今なお通用するコンセプトと言える。しかし,古いと見なされた言葉は,それが登場したインターネット普及以前の時代背景を引きずっており,「日本企業に影響を最も与えた時期」として古めの回答が多くなるのは,やむを得ないところだろう。

2008年以降の影響力が最も大きい言葉はWeb2.0

 影響力の大きさという観点で,無回答を除く有効回収数ベースで見ると,(1)Java,(2)SNS,(3)CRM(顧客情報管理),(4) Web2.0,(5)SOX法,(6)ERPの6個は,影響が特に大きい言葉と言える。キーワードを認知していなかったり,影響を与えたことがない,あるいは今後も影響を与えそうにないと回答した人の比率が2割未満にとどまり,他の4個より明らかに高いからである(図2)。このうち,Java,CRM,ERPは「2002年以前」という回答が過半数を占め,影響力が「大きかった」のに対して,SNS,Web2.0,SOX法は「2006~2007年以降」が6割以上を占め,影響力が「大きい(大きくなりそうだ)」と言える。とりわけ,Web2.0は「2008年以降」が 22.8%と最も高く,これからが旬とも言えよう。

図2●10個のITキーワードの認知状況と影響力の大きさ(2007年2月調査)
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 この調査のテーマが「旬の時期」だったこともあり,回答者の年齢層別に回答傾向に違いが見られた。特に大きな違いがあったのは,最も古い言葉とされたSISである。SISは1990年ころに一世を風靡(ふうび)したが,その当時にビジネス・パーソンになっていなかったと思われる「34歳以下」の回答者では,言葉の認知度が低く,相対的に新しい時期を回答する傾向が強い(図3)。SISは,年齢が上がるほど言葉の認知度が上がり,古い時期を回答している。これに対して,新しい言葉は年齢別の違いが小さい。大ざっぱに言えば,若手は昔のことをよく知らないが,中高年は昔のことも今のこともまあ知っている,というところだろう。

図3●年齢層別に見たSISに対する認知度と日本企業に影響を与えた時期(2007年2月調査)
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(村中 敏彦=日経BPコンサルティングチーフ・アナリスト,BtoBコンサルティング・リサーチ 担当)