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総務省
総合通信基盤局事業政策課

 ISP市場におけるNTTのシェアは上昇している(図5)。今回の調査では,加入者数上位3社の個別シェアの公表は関係事業者から同意が得られなかったため,NTT系・非NTT系・CATV系・ベンダー系の4区分に分類した。2006年12月において,NTT系が27.6%,非NTT系が40.4%,CATV系が3.6%,ベンダー系が28.4%となり,過去の推移からNTT系のシェアが上昇傾向にあることが分かる。

図5●ISP市場における事業者別シェアの推移
図5●ISP市場における事業者別シェアの推移  [画像のクリックで拡大表示]

 インターネット接続サービスは上位レイヤーに位置付けられるサービスだが,回線サービスと密接に関連する。ISP市場では,両サービスをバンドルした販売方法や料金値上げの動きなどが話題にのぼるが,ADSLからFTTHへの移行が進む中,ブロードバンド市場における市場支配力の“てこ”による影響がISP市場に及ぶことがないか注視する必要がある。

寡占的な傾向の強い通信市場

 以上,ブロードバンド市場について概説してきたが,競争評価ではこのような各種データの分析や市場支配力の評価を通信サービス全般にわたり実施している。

 図6は,競争評価の対象となる4領域の主な市場について,市場集中度指数(HHI)とNTTグループのシェアをまとめたものである。なお公正取引委員会では,企業合併後のHHIが1500以下の場合は「競争を実質的に制限することとなるとは通常考えられない」,HHIが2500以下の場合かつ市場シェアが35%以下の場合は「競争を実質的に制限することとなるおそれは小さいと通常考えられる」としている。

図6●定点的評価の結果概要(市場集中度とNTTグループのシェア)
図6●定点的評価の結果概要(市場集中度とNTTグループのシェア)
矢印は昨年度と比較した場合の増減を表す。

 市場集中度を見ると,通信市場ではいずれの市場も寡占的だ。特に固定電話(加入),中継電話,IP電話,携帯・PHS,ADSL,FTTH,専用サービスでは,HHIが3000超となり集中度が非常に高い。また,NTTグループのシェアは,ブロードバンド,ADSL,050 IP電話,ISPを除きいずれも5割超であり,IP電話やブロードバンド,FTTH,ISPなどの市場でさらに上昇する傾向がある。

 各市場について,市場支配力の評価をまとめたものが図7である。市場支配力の存在と市場支配力の行使の二つの観点から整理した。前者についてはCATVインターネットとISPを除き,市場支配力を有すると考えられる事業者が存在し,後者については固定電話市場の市場支配力を“てこ”としてFTTH市場に影響を及ぼす恐れがあることから,関係する市場についてレバレッジの懸念を示している。なお,市場支配力の存在が該当するのは,いずれもNTTグループの事業者となっている。

図7●定点的評価の結果概要(市場支配力)
図7●定点的評価の結果概要(市場支配力)
◎は市場支配力の存在や行使が「強く存在すること」,○は「存在すること」,△は「何らかの懸念が存在すること」,×は「可能性が低いこと」を意味する。

 このように,通信サービスは,全般的に市場集中度が高水準にあること,特にNTTグループのシェアが高く市場支配力が問題となりうることなどを考慮に入れる必要がある。今後の競争状況の検証に当たっては,NTTグループ各社を注視しつつ,さらなる競争促進を図ることが不可欠である。