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 「有線LANはオール1Gビット/秒」「無線LANは速度とセキュリティに不安があるもほぼ満足」「検疫ネットワークの最小構成は,資産管理ソフトとウイルス対策ソフトとの連携」──。2007年の調査ではLANの刷新に取り組む企業の実態が浮き彫りになった。背景にあるのは,低価格のギガビット・イーサネット対応LANスイッチや企業向け無線LAN製品の充実,サーバー統合に伴うトラフィックの集中などである。相次ぐ情報漏えいや後を絶たないマルウエアへの対策を迫られていることも挙げられる。

 今回の調査では,(1)有線LANの現在の帯域と更改予定,(2)無線LANおよび(3)検疫ネットワークの利用動向を聞いた。(1)の有線LANは2007年に加えた調査項目,(2)と(3)は2006年度調査から設けている項目である。

有線LAN
4分の1の企業が増速伴う刷新

図1●利用中の有線LANおよび更改予定/検討中の有線LANの帯域
図1●利用中の有線LANおよび更改予定/検討中の有線LANの帯域
3割弱の企業が有線LANの更改を予定/検討中で,その約3割がギガビット・イーサネットを選択している。
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 100Mビット/秒の帯域を持つ100BASE-TXの登場から12年。2008年以降は今まで主流だった100Mビット/秒から,1Gビット/秒のギガビット・イーサネットへの移行を急ぐ企業が増えている(図1)。

 現在のLANの帯域を尋ねたところ,「サーバー,クライアントとも100Mビット/秒」と答えた企業は56.3%。100M/秒が主流の座にある点は変わらない。とはいえ「サーバー1Gビット/秒,クライアント100Mビット/秒」と答えた企業も約3割に達し,さらに3.5%の企業は「サーバー,クライアントとも1Gビット/秒」と回答した。両方を合わせると,サーバーに1Gビット/秒を採用する企業は全体の4割に近く,ギガビット化が着実に進んでいることを裏付ける結果となった。

 LANの更改予定についての設問では,1162社中304社が「更改予定+検討中」と回答。約4分の1の企業が近い将来のLAN更改を視野に入れている。「更改予定+検討中」と回答したユーザーに導入予定の帯域を聞いたところ,304社中226社,つまり44.7%が「サーバー1Gビット/秒,クライアント100Mビット/秒」を採用するとした。さらには,32.2%の企業が導入予定の帯域として「サーバー,クライアントとも1Gビット/秒」を選択した。社数にして116社である。

 これに対し,更改するLANの帯域を依然として「サーバー,クライアントとも100Mビット/秒」と回答する企業も12.8%に上った。例えば日伝の場合,「ネットワーク全体としてエンドユーザーにメリットのある体感速度を提供できるかは疑問」(日伝 情報システム部情報システムグループの山田洋専門課長)と考えた。結局,「フロア間は光ファイバで結んでいるが,あえて100Mビット/秒にしぼった」という。

無線LAN
セキュリティ不安の波受け足踏み

 無線LANについては,「導入済み」の企業が2006年の41.3%から42.9%と着実に増加している。こうした動きの中,多くのネットワーク担当者が関心を示すのがデータ伝送速度だろう。実際,調査では無線LANを「導入済み」「導入予定+検討中」とした企業の31.2%が,無線LANに期待する改善点として「より高速に通信できる」を選択した(図2)。

図2●無線LANの導入率と期待する改善点
図2●無線LANの導入率と期待する改善点
導入率は微増。期待する改善点として通信速度とセキュリティを挙げたユーザーは3割前後。
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 これに対し2007年半ばから,IEEE 802.11nドラフト2.0対応製品が登場している(写真1)。同製品の最大伝送速度は300Mビット/秒で,実効でも100Mビット/秒の有線LANと肩を並べられる。ただ,製品が登場したばかりということもあり,今のところ多くの企業は802.11nドラフト2.0対応製品に対して様子見の姿勢をとるようだ。

写真1●IEEE 802.11nドラフト2.0対応無線LAN製品が7月登場 
写真1●IEEE 802.11nドラフト2.0対応無線LAN製品が7月登場 
左からNECの「AtermWR8400Nワイヤレスカードセット」,バッファローの「WZR-AMPG300NH」,プラネックスコミュニケーションズの「MZK-W04N-X」。

 セキュリティについてはどうか。無線LANの課題として「より強固なセキュリティを確保できる」を挙げる企業は27.3%で,昨年より増えている(図2参照)。これに,15.9%の「導入コストが安くなる」,10.7%の「電波状況などを自動運用・管理できる」が続く。

 多くのユーザーが無線LANに対する不満として速度とセキュリティを挙げる点は,2006年の調査結果と変わらない。これらの改善に期待するとした企業の割合は,いずれも3割前後と高い。導入企業の満足度,および構築を予定/検討する企業の期待感は,企業向けのIEEE802.11n対応製品の動向次第と言える。

 もっとも,「導入予定+検討中」の企業は10.7%から8.3%に低下した。「事務所のレイアウト変更に柔軟性を持たせる目的で無線LANを検討中」(ダイエー システム物流本部システム企画部の櫻田良郎部長)というようにモバイル以外の必要性がある企業がそれほど多くないためか,昨年より約2ポイント多い45.8%の企業が「導入予定なし」と回答した。

 電話編の集計結果にあるように無線データ通信の導入率が減少している事実を考え合わせると,ノート・パソコンの利用意欲の減退が背景にありそうだ。

検疫ネットワーク
3割が導入,2割が導入予定

 全調査を通じてハイペースの導入が明らかになったのが,LANの認証やその結果に伴う接続拒否,ウイルス対策ソフトのパターン・ファイル更新などを促す「検疫ネットワーク」である。検疫ネットワークの導入企業は,2006年度調査で11%だったのに対し,この今年の調査では19.4%とほぼ倍増した(図3)。「予定なし」と回答した企業も38%から35.5%に減少している。

図3●検疫ネットワークの導入率と採用技術
図3●検疫ネットワークの導入率と採用技術
ウイルス対策ソフトと連携してLANに接続したパソコンをアップデートするシステムが導入済み,導入予定/検討中とも大勢を占めた。導入予定/検討中の企業では,91社がIEEE 802.1Xによる認証を選択した。
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 検疫ネットを求める企業が増えている背景の一つは,2006年から2007年にかけて世間を震撼させたWinny暴露ウイルスだろう。私用パソコンに業務データを持ち出し,感染するのが典型的な漏えいパターンである。このため,データの持ち出しを制限したり,ウイルス感染やWinny稼働が検出されたパソコンのLAN接続を拒否することの必要性が急速に認知された。危機意識の高い企業が導入を急ぎ,従来必要性を感じていなかった企業が,相次ぐ情報漏えいを前に検討を始める構図が見て取れる。

採用意欲高まるIEEE 802.1X

 採用技術の内訳を見ると,「ウイルス対策ソフトとの連携」と「資産管理ソフト」,「DHCPサーバーによる認証」が上位を占めている。この3要素が企業における検疫ネットワークの基本形と言える。

 より強固な認証を実現するには,デジタル証明書を識別子として使ってポート単位で認証するIEEE 802.1X準拠のLANスイッチが欠かせない。IEEE 802.1Xによる検疫ネットワークの導入済み企業は,226社中21社でほぼ1割にとどまった。

 ただし導入予定+検討中の企業では,384社中91社,実に23.7%が採用を予定/検討している。依然としてIEEE 802.1X準拠と非準拠のLANスイッチに価格差はあるものの,その差は確実に狭まってきている。2008年の検疫ネットワークの定番技術にIEEE 802.1Xが加わりそうだ。

調査概要

回答企業のプロフィール