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 日経マーケット・アクセスは2008年1月16日~28日,日経BPコンサルティングの調査モニターを対象にデータセンターの利用実態について調査した。従業員99人以下の規模から5000人以上の規模の企業や団体に勤務する情報システム関与者の回答結果である。

 回答全体から見えて来るのは,災害対策に対する意識が非常に強まっているとことだ。同時に,投資を早く回収したいと考えているデータセンター事業者の意向とは裏腹に,コスト低減を求めるユーザーが引き続き多い。一方,発熱量や電源容量などグリーンIT関連はデータセンター選びの重要な要素にはなっていなかった。

 さらに,この結果を企業規模や業種,利用開始年,支払い金額,SIerなどを通じた契約なのか自社契約なのかといった契約形態別,あるいは何番目に重要なデータセンターかといった位置づけごとに見ていくと,ユーザーのより詳細なニーズが浮かび上がってくる。

 まずは,データセンターのユーザーがをどのような視点でセンターを選んでいるのかを具体的に見ていこう。

ユーザー全体では「料金」と「災害対策」のニーズが並ぶ

 データセンターの選択基準はどのようなところにあるのか。はっきりと想像できるだろうか。ユーザーの規模や抱えているシステム上の課題,さらにデータセンターにどのような役割を持たせるか,といった様々なことによって選択基準は異なってくる。そのうえ,大抵はいくつかの条件があり,その優先度や強さがユーザーによって異なるものだ。当然だが,それらを総合的に判断してデータセンターを決めることになる。

 このように個々の要素が絡むため,ユーザーがどのような選択基準を設けているのかを調べることは難しい。このため,今回はデータセンターを実際に利用しているユーザーがそのデータセンターを選択した1番目~5番目までの理由を細かく分けて調査した。ここでは1番目の理由に絞って,ユーザーが最優先する要素を紹介する(図1)。また,データセンターを複数利用しているケースを想定して,「最も重要なデータセンター」と「2番目に重要なデータセンター」に分けてそれぞれの選択理由を調査した。ここでは「最も重要なデータセンター」の選択理由について取り上げる。

図1●最も重要なデータセンターを選んだ1番目の理由
図1●最も重要なデータセンターの1番目の選択理由
月額料金と災害対策が2大選択理由だ(有効回答数=493)。

 最初に調査結果を報告してしまうと,ユーザーの多くが「最も重要なデータセンター」を選んだ1番目の理由として挙げたのは,「月額料金が安い」(18.1%)と「災害対策に強い」(17.2%)だった(単一回答)。他には「セキュリティが強固」,「データセンターを統合できる」,「勤務先からの距離が近い」なども挙がったが,いずれも比率は1割未満で回答が分散し、料金と災害対策に回答が集中していた。

 このうち「災害対策に強い」が上位に挙がったのは、災害や事故などの予期しない事態が発生した場合でも事業を継続できるようにするBCP(事業継続計画)などの観点から,データセンターへの要望が高まっているためと考えられる。

 一方,「月額料金が安い」はシステムの安全確保という重要な役割をデータセンターに期待しつつも、コストがかかると感じている利用者が多いことを示している。現状よりも安価な料金でデータセンターを利用したいという要望は強い。

従業員500人を境に選択基準が変化

 このようなデータセンターの選択理由を従業員規模別に示したのが表1である。「最も重要なデータセンター」の「1番目」の選択理由を従業員規模別に集計したものだ。結果は,従業員500人未満で最重要データセンターの1番目の選択理由で1位となったのが「月額料金が安い」,2位が「ネットセキュリティが強固」だった。しかし,従業員500人以上になると順位が入れ替わり,1位に「災害対策に強い」が上がってくる。従業員500人未満で1位だった「月額料金が安い」の重要度は,従業員規模が大きくなるにしたがって低下した。

表1●従業員規模別のデータセンターの選択理由
従業員500人を境に「最も重要なデータセンター」の選択理由1位が入れ替わる
表1●従業員規模別のデータセンターの選択理由
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 データセンターを選ぶ際の理由を一つだけ挙げるならば,従業員500人未満では「料金」,500人以上は「災害対策」と,500人規模を境界にして大きく分かれることになる。もう一つ特徴的なのは,従業員1000人以上の場合には,選択理由の2位に「データセンターを統合できる」が入り,「月額料金が安い」を上回ったことだ。

 このようにユーザーの環境によってデータセンターの選択基準に差があることが分かるが,この他に業種や支払金額別にデータセンターの選択理由を見るとまた違った側面が見えてくる。最優先される選択理由だけでなく,1番~5番目までの選択理由をスコア化した結果では,「セキュリティ」が上位に挙がり,特に従業員規模の小さな企業・組織でより上位に位置することも分かった。このような結果からすると,中堅・中小企業向けのセキュリティー・サービスをデータセンターが提供することによって関心を集められるかもしれない。