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 データセンターを利用するかどうかの判断は,センターの用途や扱うデータ量などの様々な要素によるが,実際にデータセンターを利用している国内ユーザーはどの程度いるのだろうか。また現状では企業・組織の規模によって利用状況がどの程度異なるのかを見てみる。

大手企業でもデータセンター利用は6割程度

 今回の調査結果を回答者全体で見ると,データセンターを「利用している」としたのはユーザー全体の約4割だった。これでは漠然としているため,これをいくつかの角度から見ていく。まずは上場企業と非上場企業でどの程度の差があるのか。

 非上場企業だけを取り出した場合,データセンター利用率は34.7%と1/3強だった(図1)。これに対して,上場企業の中でも東証一部上場企業ではデータセンター利用率が6割を超えた。非上場企業の利用率を25ポイント以上上回る。

図1●上場,非上場別企業のデータセンターの利用率
図1●上場,非上場別企業のデータセンターの利用率
東証一部上場企業でも1/3はデータセンターを利用していない(nは有効回答数)。

 ただし,第1回の「料金,災害対策が選択を左右」でも取り上げたように,強固な災害対策を求めるニーズが大企業を中心に強い。強固な災害対策は大企業に共通したニーズだとすれば,東証一部上場企業のデータセンター利用率が6割超というのは,十分に利用されているとは言えない。

 インターネットが普及する以前から“コンピュータ・センター”を利用してきた大手企業を中心としたユーザー,あるいはコンピュータ・センターを自社運営しているユーザーなどにとっては,データセンターという言葉のなじみがかえって薄く,その結果,利用率が低めに出ている可能性があるかもしれないが,その点を考慮しても東証一部上場企業のデータセンター利用率は高いとは言えないだろう。自社でデータセンターを持てる企業などを除いて,利用率は今後まだ上昇する余地があると考えられる。

従業員300人未満の利用は3割弱

 一方,従業員規模別のデータセンター利用率は図2のように,従業員規模が大きくなるにつれてほぼ上昇した。従業員300人未満の場合は30%未満だが,同500人以上になると40%を超え,1000人以上で約55%だった。

図2●従業員規模別のデータセンター利用率
図2●従業員規模別のデータセンター利用率
従業員規模が大きくなるにしたがって,利用率はおおむね上昇する(nは有効回答数)。

 データセンター利用率が最低だったのは従業員100~299人規模である。99人未満の方が利用率は3.5ポイント高いという結果だった。99人未満の方が人員がより少ないため,割り切ってデータセンターを利用している可能性もある。

 企業規模が小さくてもセキュリティ対策は大企業と同様に万全でなくてはならず,中堅・中小企業の情報システム担当者には負荷がかかる。利用料金で折り合いが付けば,今後,中堅・中小企業によるデータセンター利用は増える可能性がある。中堅中小企業向けのSaaS(Software as a Service)などの新サービスの利用が広がるかどうかも大きく影響するだろう。

 また,従業員300人未満の場合,データセンターにセキュリティ機能を求めるニーズも高い(第1回を参照)。もしもデータセンターがセキュリティ対策をはじめとした中堅中小企業向けのサービス・メニューを充実させるならば,300人未満の企業・組織もデータセンターをもっと活用する可能性があるだろう。

 一方,従業員1000人以上の規模になると「利用していない」と「利用している」の比率が逆転し,「利用している」が50%を超える。しかし,従業員1000~4999人,さらに5000人以上の規模でデータセンター利用率がともに約55%にとどまっており,東証一部上場企業と同様に,従業員規模で見ても企業・組織のデータセンター利用率はそれほど高くない。

 社会的責任の大きさからすれば,大企業・組織の情報システムにおけるセキュリティや災害対策などには高い確実性が求められる。災害対策の充実した自社ビル内にフォールトトレラント・システムを構築し,ネットワークを二重化したとしても,大規模な地震などによって数日間に渡って電力供給が途絶える可能性があることなどを想定すれば,リスク分散のために他地域のデータセンターにバックアップ・システムを構築するなどの対策が必要になることもあるだろう。どこまでコストをかけられるかという問題はあるが,システムを止めないことを優先するならば,データセンターの活用は現状よりもっと進むはずである。