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 この5月には,日本ヒューレット・パッカード,デル,NECが「仮想化ソフトを内蔵したサーバー機」を相次いで発表した(関連記事)。OSをプリインストールしたサーバー機は当たり前だが,今は仮想化ソフトの組み込みも選べるようになった。大手サーバー・ベンダーがこうした製品をリリースするあたり,サーバー仮想化技術が「当たり前のもの」となりつつあることを示している。

 一方,仮想化の対象は,従来のサーバーやストレージにとどまらず,「デスクトップ」や「I/O」へ適用領域を広げている。特にクライアントPCをサーバー上の仮想マシンで稼働させる「デスクトップ仮想化」は,仮想化ソフト・ベンダーやコンピュータ・ベンダーが製品開発を競う,ホットな分野である。

 2008年に本格化したこれらの動きは,仮想化の“第2章”とでも呼べそうなものだ。そこでITproでは,2008年4月30日から5月13日にかけて『仮想化技術の利用状況・導入意向に関する調査』を実施。仮想化技術に対するユーザーの意識がどこまで高まっているのか,2009人の回答から探った。

関心はあるけど,まだ踏み出せない

 サーバー仮想化を「既に導入済み」とする回答は12.7%,これに「計画あり」という回答を合わせると20%を超えた(図1)。仮想化技術が広く認知されるようになったのはここ1年ほどのことなので,それを考慮すれば“まずまずの数字”と言えなくはない。

図1●サーバー仮想化を「導入済み」「計画あり」は20%を超える
図1●サーバー仮想化を「導入済み」「計画あり」は20%を超える

 とはいえ,気になる点もある。実は5カ月前に実施した調査で全く同じ質問をしているのだが,そのときの集計結果と比べ,サーバー仮想化の導入意向に変化が見られなかったのだ。2007年11月26日から12月5日に実施した『ITpro読者に聞く「2007年/2008年重大トピックス」に関するアンケート』では,サーバー仮想化を「既に導入済み」とする回答が12.1%。これに「計画あり」を加えると,今回の調査結果と同じ20.9%だった。

 5カ月という短い間隔で調査を実施したことが災いしたのだろうか。今回の調査時期は多くの企業が2008年度のIT予算を決めた後のはずなので,少なくとも「計画あり」という回答が増えるだろうと筆者は予想していたが,完全に肩すかしをくらってしまった。

 やはり,インフラ系の新技術を導入する時は,「稼働実績がものを言う」「ノウハウが蓄積されるのを待つ」ということなのだろう。最近の取材を通して,IT業界やユーザー企業で仮想化技術への関心がさらに高まっているとは感じるが,個々の企業が最初の一歩を踏み出すまでにはもう少し時間が必要なようだ。

一番人気の仮想化ソフトはVMwareだが,Xen系も有力

 今年中に出荷されるものも含め,興味がある仮想化ソフトを二つまで答えてもらったところ,予想通り「VMware ESX Server」が45.9%と群を抜く関心を集めている(図2)。さすがにサーバー仮想化市場を築いた立役者だ。

図2●仮想化ソフトではVMwareが最も人気
図2●仮想化ソフトではVMwareが最も人気

 続いて,Windows Server 2008用の仮想化ソフトである「Hyper-V」が22.3%となっている。製品版のリリースは今年後半だが,Windows Server 2008の目玉機能の一つとして以前から注目されていた。

 ここまでは順当であるが,少し意外だったのは,3位以下の仮想化ソフトの顔ぶれだ。米Oracleの「Oracle VM」や米Sun Microsystemsの「Sun xVM」は,いずれもここ半年の間に発表・リリースされたばかりの製品である。それにもかかわらず,Oracle VMがHyper-Vに近いレベルで関心を集めていることは注目に値する。

 また,Oracle VMとSun xVMは,Xenをベースにした仮想化ソフトである。Xen系の仮想化ソフトへの関心度を合計すると,VMwareを上回るところが興味深い(図3)。

図3●Xen系の仮想化ソフトを合計するとVMwareを上回る
図3●Xen系の仮想化ソフトを合計するとVMwareを上回る

成熟度の高いストレージ仮想化 < 新手のデスクトップ仮想化

 初めに紹介したように,仮想化の対象は,従来のサーバーやストレージにとどまらず,「デスクトップ」や「I/O」に広がってきている。「デスクトップ仮想化」とは,サーバー上の仮想マシンでクライアントPC(OSやオフィス・ソフトなど)を実行する新形態のシンクライアントの総称である。一方の「I/O仮想化」は,サーバーのネットワークI/OやストレージI/Oを仮想化して,柔軟に再構成できるようにする技術だ。

 こうした新手の仮想化技術とストレージ仮想化についても,導入意向を聞いてみた(図4)。デスクトップ仮想化やI/O仮想化については,やはり「既に導入済み」「計画あり」とする回答は少ない。しかし,「デスクトップ仮想化を知らない」「I/O仮想化を知らない」とする回答も1割未満であり,これらの技術は認知されているとみられる。

図4●各種の仮想化技術では,「デスクトップ仮想化」の導入意向が高い
図4●各種の仮想化技術では,「デスクトップ仮想化」の導入意向が高い

 意外だったのは,デスクトップ仮想化に対する導入意向が,ストレージ仮想化技術を上回っている点である。技術の成熟度はストレージ仮想化のほうが高いとされているが,企業はクライアントPC管理の課題解決を優先しているようだ。