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 人事・給与アプリケーションは業務の汎用性が比較的高く,パッケージ化しやすいという特徴がある。業種による違いよりも,企業規模,つまり社員数が多くなるほど必要性が高まる。現在は「HRM(ヒューマン・リソース・マネジメント)」として,人材管理だけではなく,雇用・スキルなどの概念を踏まえた人材戦略の考え方が浸透しつつある。

 人事管理システムは,企業規模に比例して導入率が高くなる。そのパッケージ製品には差異化要因が少なく,シェアは混戦状況にある。中堅・中小企業向け市場を見ても,特定の人事管理パッケージが抜きん出て強いという状況にない。一方,給与パッケージは比較的小規模な企業での導入が進んでおり,導入率も全般的に高い。こちらはシステムの機能よりも,価格やブランド力,販売力によってシェアに差が出ているようだ。

人事管理はOBC「人事奉行」が導入率/利用予定でトップ

 人事管理はパッケージ導入率が90.5%で,パッケージ化が進んでいる。パッケージ製品のシェアトップはOBCの「人事奉行」で,21.1%。続く2位がカシオ計算機の「ADPS」(15.6%),3位がPCAの「PCA人事」(5.5%)である(図1)。利用予定シェアを見ると,トップがOBCの「人事奉行」で31.2%。2位が大塚商会の「SMILEα人事管理」(17.4%),3位がカシオ計算機の「ADPS」(13.8%)(図2)。ここでも,OBCの「人事奉行」が優位に立っている。

図1●人事管理パッケージ導入率(左)と製品シェア(Nは有効回答数)
図1●人事管理パッケージ導入率(左)と製品シェア(Nは有効回答数)

図のタイトル
図2●人事管理パッケージの利用予定シェア(Nは有効回答数)
 参考値として製品評価を見ると,シェア上位5製品では,シェア4番手のアイテックス「PRO_STAFF-α人事」が72.9で最も高い評価を得ている。これにOBCの「人事奉行」,PCAの「PCA人事」,大塚商会の「SMILEα人事管理」,カシオ計算機の「ADPS」が続く。

図3●シェア上位だった人事管理パッケージの満足度。5段階評価(0,20,60,80,100)の加重平均で算出した(Nは有効回答数)
図3●シェア上位だった人事管理パッケージの満足度。5段階評価(0,20,60,80,100)の加重平均で算出した(Nは有効回答数)

給与管理は「給与奉行」が抜きん出る

 給与管理もパッケージ導入率が93.3%で,人事管理以上にパッケージが利用されている。シェアはOBC「給与奉行」が29.9%で,圧倒的な強さを見せている。これに,PCAの「PCA給与」(10.7%),弥生の「弥生給与」(10.6%),アマノの「Time Pro-getシリーズ」(7.6%),大塚商会の「SMILEα給与管理」(5.5%)が続く(図4)。

図4●給与管理パッケージ導入率(左)と製品シェア(Nは有効回答数)
図4●給与管理パッケージ導入率(左)と製品シェア(Nは有効回答数)

図5●給与管理パッケージの利用予定シェア(Nは有効回答数)
図5●給与管理パッケージの利用予定シェア(Nは有効回答数)
 給与管理パッケージの利用予定シェアは,トップがOBCの「給与奉行」(36.2%),2位がPCAの「PCA給与」(11.2%),3位が弥生の「弥生給与」(9.7%)である。ここでも,OBC「給与奉行」が抜きん出ている。

 シェア上位の5製品の中で,最も高い評価を得ているのが大塚商会の「SMILEα給与管理」(76.8)。これに,OBCの「給与奉行」,弥生の「弥生給与」,PCAの「PCA給与」,アマノの「Time Pro-getシリーズ」が続く。上位5製品は,全体的に高い評価を獲得している(図6)。

図6●シェア上位だった給与管理パッケージの満足度。5段階評価(0,20,60,80,100)の加重平均で算出した(Nは有効回答数)
図6●シェア上位だった給与管理パッケージの満足度。5段階評価(0,20,60,80,100)の加重平均で算出した(Nは有効回答数)

 人事・給与業務は,企業にとってビジネスの差異化要因ではなく,汎用的なパッケージで対応可能である。このため,カスタマイズや社内システムで運営する必要性は低く,将来はアウトソーシングやSaaS(Software as a Service)へ移行する可能性も高い。もちろん,その際には従業員の個人情報を扱うための,セキュリティ確保が重要な課題になる。

 次回は販売管理を取り上げる。

 なお回答企業プロフィールなどの調査概要については,こちらをご覧ください。

■伊嶋 謙二 (いしま けんじ)

【略歴】
ノークリサーチ代表。大手市場調査会社を経て,98年にノークリサーチを設立。IT市場に特化した調査,コンサルティングを展開。特に中堅・中小企業市場の分析を得意としている。07年には中堅・中小企業のIT部門向けQ&Aサイト「シス蔵」をテクネット社と立ち上げた。