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調査内容 ITの省エネ(初期コスト回収の見込み)
調査時期 2008年5月中旬~下旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3135件((1)1051件,(2)676件)
( )内は,(1)自社の情報システムの担当者,(2)他社(顧客企業,親会社など)のシステム業務担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが「ITの省エネ」施策を実施・検討中の企業情報システム担当者に聞いた調査では,それらの施策による省電力効果の期待値は13~15%程度だった(6月12日付け6月13日付けの記事参照)。では,その施策のための初期コストは,どの程度の期間の運用コスト削減で回収できれば許容されると考えているのか。

 高効率のサーバー・システムや,水冷装置,直流電源,運用管理ツールの採用という比較的大掛かりな投資や導入作業が必要となる「ITの省エネ」施策を挙げた回答者に対して回収許容期間を聞いたところ,最も短いのは「クライアント機器を対象に省電力ポリシーを設定できる運用管理ツール」で平均約27カ月,サーバーやネットワーク機器の運用管理ツールは約28カ月だった。

 一方,ハードの導入を含む省エネ施策への回収許容期間はやや長く,直流電源が平均約30カ月,ブレードなどの冷却効率がよいとされているサーバー・システムと水冷装置は約31カ月という結果になった。

 ちなみに,今回の回答者のうち「自社の情報システムの担当者」に限った集計では,図示した全有効回答の集計(顧客企業や親会社など,他社の情報システムにかかわる業務の担当者を含む)に比べ,回収期間の期待値がやや短い。運用管理ツールは平均約26~27カ月。直流電源(n=99)は平均28.2カ月。高効率のサーバー・システム(n=175)は平均30.0カ月。特に水冷装置への期待は,全回答者平均に比べて自社システム担当者の高さが目立ち,全回答より2.8カ月短い平均28.3カ月(n=90)でのコスト回収を期待する,という結果だった。

 ちなみに,約1年前の日経SYSTEMS 2007年6月号の記事によると,単純な「消費電力が少ないサーバーへの交換(2000年モデル単体→2007年モデル単体)」のケースで電力当たり処理能力が5~9倍に向上(性能平均15.2倍,消費電力平均2.1倍),電力コストに換算すると新サーバーの購入費用は12カ月で回収できる。ただし電力コストの想定値を,無停電電源や自家発電機など付帯設備のコスト上乗せ分を除いた電力会社の電気料金で計算すると,購入費用の回収期間が7倍の約84カ月に伸びる,という試算結果がある。

 今回の調査で示された「導入側が期待する回収許容期間は27~31カ月」という結果は,さほど厳しくない条件に見える。しかし「省電力効果は13~15%程度でよい」と考えている導入者側が,同時に「コスト回収の許容期間は30カ月」としているのは,意外にやっかいな問題かもしれない。運用ランニング・コストの算定基準値の取り方が,「ITの省エネ」施策の推進派と抑制派の争点になりそうだ。

■調査概要
日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,IT機器やデータセンターの消費電力削減など「ITの省エネ」活動の一環として,その担当企業で実施あるいは具体的に検討されている施策の状況を聞いた。集計対象は,担当企業がITの省エネ」活動に組織的に(全社ないし部門,事業所の活動として)取り組んでいる(6月10日付け記事参照),とした回答者に限定した。
「冷却効率のよいサーバー・システム(ブレード,0.5Uなど)」,「水冷装置」,「直流電源方式」,「運用管理ツールによる省電力ポリシーの設定(サーバー対象)」,「同(ネットワーク機器対象)」,「同(クライアント機器対象)」の採用を実施または検討中(6月11日付け記事参照)とした回答者に,それらの機器や設備,ツールの導入による初期コストの増加が,どの程度の期間の運用コスト削減で回収できれば許容されるのかを聞いた。本文中の「平均」は選択式回答の「1年以内」を6カ月,「1年以上~2年未満」を18カ月,「2年以上~3年未満」を30カ月,「3年以上~4年未満」を42カ月,「4年以上~5年未満」を54カ月,「5年以上」を66カ月に換算して,加重平均した値である。
調査実施時期は2008年5月中旬~下旬,調査全体の有効回答は3135件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした有効回答は1051件。「他社(顧客企業,親会社など)の情報システムにかかわる仕事をしている」とした有効回答は676件。

図●高効率のシステムやツールの導入による初期コスト増を,運用コストの削減で回収するとした場合の許容期間