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調査内容 IT関連キーワードの認知度・業務への影響・利用状況
調査時期 2008年5月中旬~下旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3135件(1051件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスでは,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,最新あるいは注目のIT関連キーワードを毎月三つずつ挙げて,その認知度,業務への影響と利用の状況について聞いている。2008年5月の調査では,「ULCPC(Ultra Low-Cost Personal Computer)」,「MAID(Massive Array of Idle Disks)」,「CMDB(構成管理データベース)」の3つのキーワードを取り上げた。

激安パソコンを検討するほど予算は切迫していない?

 2007年後半から市場に出回り始めた,400~500ドルという安さの携帯型パソコン。報道やWeb上での論評では,これらの製品を「UMPC(Ultra-Mobile PC)」と称していることが多い。ただし「UMPC」は遡ると2006年春ごろ,米Intelや米Microsoftが「キーボードを持たずタッチ・パネル操作を基本とする(Windows XP Tablet PC Editionを搭載)携帯パソコン」として打ち出したもの。

 今回の調査ではキーワードとして,「ULCPC(Ultra Low-Cost Personal Computer)」を提示し,企業情報システム担当者に認知度や利用の可能性を聞いた。「ULCPC」は2008年4月に米Microsoftが使い始めた用語とされる。Windows XPをこの「ULCPC」に分類されるパソコンに限り,2010年6月末(またはVistaの次世代Windowsの発売1年後)まで売り続ける,というものだ。「激安パソコンのOSをLinuxに制覇させないために,Windows XPを特別に安価で提供する」Microsoftの商品戦略から生まれた言葉と言える。

 さて,企業情報システム担当者の「ULCPC」への認知度は,67.7%が「聞いたことがない」とし,「業務に通用する知識がある」「ある程度理解している」の合計が約13%。認知度スコア1.62は,今回調査分まで全63種のキーワードの中で下から6番目。後述する今回調査の2つを除くと,下にいるのは前回2008年4月調査の「PaaS」,2007年8月調査の「XBRL」,2007年10月調査の「AIR」だけだ。

 「聞いたことがない」回答者を除外して集計した“業務への影響度”は,55.5%がULCPCに「将来かかわる可能性がある」としている。しかし同じく「聞いたことがない」回答者を除いて集計した「利用の見込み」は「全社的に運用」「一部で運用」「一部で試験運用」「導入を計画」を合わせて約12%どまり。「激安パソコンの使用を検討するほど,企業情報システムの予算は切迫していない」のか,「ULCPC用に今後2年供給され続けるの家庭用のWindows XP(Home Edition)だけなので,企業情報システムには使えない」と熟知しているためだろうか。

省電力ストレージは6割が導入・検討,「MAID」は8割が「知らない」

 この調査では同じ2008年5月調査で,「グリーンITへの取り組み」についても聞いている。その中で「IT機器やデータセンターの消費電力削減など「ITの省エネ」活動には,企業情報システム担当者は22.7%が「全社的活動として取り組んでいる」,12.7%が「部門、事業所などの組織の活動として取り組んでいる」と回答(6月10日付け記事参照)。「組織的な取り組みは行っていない」64.5%を除く回答者のうち,具体策として「消費電力が少ないストレージ装置の採用」を「すでに実施した」という回答者が20.1%,「具体的に検討している」が38.6%で,合計すると過半数を超えた(6月11日付け記事参照)。

 さて,この「消費電力が少ないストレージ装置」の新顔として,最近広告などで見かけることが多くなったのが「MAID(Massive Array of Idle Disks)」である。ディスク装置に収容されているデータの使用頻度をシステム(管理ソフト)が監視し,あまりアクセスのないHDD群はドライブの回転を停めて節電する,という,原理としては単純なものだ。

 今回の調査でキーワードとしてこの「MAID」を取り上げたところ,「聞いたことがない」が80.4%で歴代トップ。過去最も「聞いたことがない」率が高かった,2007年10月調査の「AIR」(73.6%)を大幅に上回り,認知度スコアも1.33で最低記録を更新した(「AIR」の1.46が歴代2位,「XBRL」の1.50が3位)。

 「聞いたことがない」回答者を除外して集計した“業務への影響度”は,上記のULCPCを上回る58.4%が「将来かかわる可能性がある」とした。「利用の見込み」は「全社的に運用」「一部で運用」「一部で試験運用」「導入を計画」を合わせて13.8%。応用/利用状況スコアは1.22で,前回2008年4月調査の「PaaS」(1.18)や「クラウド・コンピューティング」(1.16)を辛うじて上回った程度だ。

運用管理の中核を支える「CMDB」も知名度は低い

 2007年1月の本調査で,国際的な運用管理の標準「ITIL(ITインフラストラクチャー・ライブラリ)」を取り上げた時の結果は,「聞いたことがない」が55.6%(今回調査分まで全63種のキーワード中20番目に高い)。認知度スコア2.00(同42位)ながら,業務への影響度スコアは3.10で20位,応用/利用状況スコアは1.85で17位(「全社的に運用」~「導入を計画」を合わせて39.0%)。認知度の広がりには乏しいが,理解者の中では影響度や利用に意識が高め,という傾向だった。

 今回の調査でキーワードとして取り上げたのは,このITIL標準の導入に不可欠なIT基盤の一つとされる「CMDB(構成管理データベース)」。最近世に出たばかりのキーワードではないが,「聞いたことがない」67.5%や認知度スコア1.61は,前出の「AIR」や「XBRL」,今回調査の「ULCPC」と同水準。しかし「聞いたことがない」回答者を除外して集計した“業務への影響度”は「自分の業務とかかわる」22.7%(63種中27位),「将来関わる可能性がある」52.0%(同28位)と比較的高め。しかし応用/利用状況は「具体化していない」が73.5%(同24位)と高く,応用/利用状況スコアは約1年半前のITILに遠く及ばない1.56(同38位)に終わった。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,IT関連の最近のキーワードの認知度,自身の業務への影響をどう見ているか,回答者の所属組織での利用状況を聞いた。
 「認知度」は四択の質問で「業務に通用する十分な知識がある」を5,「内容をある程度理解している」を3.67,「名前だけは聞いたことがある」を2.33,「聞いたことがない」を1点にスコア換算した。
 同様に「業務への影響」は三択で「自分の業務と深い関わりがある」を5,「今は関わりがないが,将来関係するかもしれない」を3,「自分の業務には関係ない」を1点に換算。
 「応用/利用状況」は五択で「全社的に運用されている」を5,「一部の部門,業務で運用されている」を4,「一部の部門,業務で試験的に運用されている」を3,「導入を計画している」を2,「導入/利用計画はまだ具体化していない」を1点に換算した。なお,認知度で「聞いたことがない」とした回答者の「業務への影響」と「応用/利用状況」への回答は無効として集計から除外している。
 調査実施時期は2008年5月中旬~下旬,調査全体の有効回答は3135件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1051件。

図1●情報システム担当者の最新キーワードの認知度・業務への影響・利用状況

図2-1●情報システム担当者の最新キーワードの認知度

図2-2●情報システム担当者の最新キーワードの業務への影響

図2-3●情報システム担当者の最新キーワードの利用状況