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 中堅・中小企業はベンダーや販社に対してどのような意識を持っているのか。頼れるベンダー/販社と頼れないベンダー/販社の差とは何か。今回は,ベンダー/販社側の中堅・中小市場戦略とユーザー側意識を突き合わせることで,中堅・中小企業マーケットへのあるべきアプローチについて探っていく。

変化の兆し見せる大手ベンダーと系列インテグレータの関係

 まず,中堅・中小企業に「信頼のおけるITベンダー」及び「経営の課題解決に役立つITという観点で頼りになるITベンダー」を尋ねた結果をご覧いただきたい(図1図2)。

図1●信頼のおけるITベンダー(Nは有効回答数)
図1●信頼のおけるITベンダー(Nは有効回答数)

図2●経営の課題解決に役立つITという観点で頼りになるITベンダー(Nは有効回答数)
図2●経営の課題解決に役立つITという観点で頼りになるITベンダー(Nは有効回答数)

 これらの調査結果からは,オフコン時代からの中堅・中小企業への太いチャネルを維持しているNECと富士通が,ユーザーの信頼を得ていることが明確に読み取れる。中堅・中小企業は一案件当たりの価額が低い分,ベンダー側に見捨てられるのではないかという不安を常に感じている。そのため,将来的にもきちんとサポートしてくれるかどうかを大企業以上に重視する。そういった時に,実績があり,撤退する心配のない国内大手ベンダーを第一に信頼するのは当然の結果と言える。

 磐石に見えるこの構図であるが,実は近年少しずつ変化の兆しを見せ始めている。それは,NECや富士通とその協力会社である系列システム・インテグレータとの関係である。

 以前は,大手ベンダー系システム・インテグレータは各自が所属するベンダーの製品やサービスを取り扱うのが当然だった。だが,ユーザー側の要求が厳しくなり,1社の系列製品/サービスだけでは案件獲得が難しくなってきている。1つの案件に複数ベンダーの製品/サービスが混在するようになると,ユーザーの拠り所はベンダーから,直接付き合うインテグレータへと移ってくる。その際,大手ベンダーが系列インテグレータに対して,どうやってガバナンスを維持していくのか。大手ベンダーにとっては,今後の中堅・中小企業へのアプローチに際して重要な課題となってくるだろう。

 日本IBMはトータル・ソリューション提供会社としてのイメージが強く,高級感から来る信頼が結果となって現れている。だが,その一方で,中堅・中小企業へアプローチするためのチャネル開拓では,いまだに大きな成功を納めておらず,ユーザーの信頼感を案件獲得に結び付けられていない状態である。高級感・信頼感の裏返しとして割高というイメージも強い。中堅・中小企業へ直接アプローチする中小規模のインテグレータからの支持を得られるかどうかが同社の大きな課題である。

 マイクロソフトは業務アプリケーションとしてDynamicsシリーズを展開している。だが,Dynamicsシリーズは,日本の中堅・中小企業にはまだ浸透していない。したがって,上記の調査結果は業務アプリケーションではなく,IT基盤(Windows OSおよびMicrosoft Office)の実績が評価された結果と見るべきだろう。

 「信頼のおけるITベンダー」では7位の日立製作所は,「経営の課題解決に役立つITという観点で頼りになるITベンダー」では5位に浮上している。これは前述したように国産ベンダーとしての強みである。買収/撤退リスクや長期にわたる一貫したサポートといった面で,外資系ベンダーはユーザーの心理面でどうしても不利になりがちである。外資系ベンダーにとっては独立系の中小規模インテグレータの支持をいかに獲得するかが勝負の分かれ目となる。