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 SaaS(Software as a Service)の登場で,「所有」するITから「利用」するITへの変化が話題となることが多い。中堅・中小企業における所有と利用に対する意識はどう変化しているのか。どのようなアプリケーションが「利用」に適していると考えられているのか。今回はそういった意識の現状を,SaaSの最新事情と合わせて解説していく。

BPOの流れで人事/給与アプリのSaaS利用を期待

 SaaSへの取り組みと関心度に,年商規模別の差はあまり見られない()。中小クラス(年商5億~50億円)の関心は中堅クラス(年商50億~500億円)と比較すると低いが,これはSaaSに限らずIT全般に対する取り組み姿勢の違いから来るものと考えられる。業種別では建設業の関心が低い。これは,第2回で触れたように建設業ではシステムの独自開発比率が高く,SaaSとの親和性が低いことが要因であると推測される。

図●SaaSへの取り組みと関心度(Nは有効回答数)
図●年商規模別,業種別のSaaSへの取り組みと関心度(Nは有効回答数)
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 中堅・中小企業がSaaSに期待することの多くは,コスト削減である(注1)。しかし,本当にコスト削減に繋がるかどうかは,対象となるアプリケーションの特性を踏まえた上で慎重に検討する必要がある。

 SaaSの利用対象として,どのようなアプリケーションを検討しているかを尋ねたところ,財務会計,人事給与,販売/在庫管理が比較的上位となった()。ユーザーはこれらの定型的な経理処理にSaaSを活用して,基幹系業務パッケージのライセンス費用を代替したいと考えているようだ。ただし,中堅・中小企業の経理処理には,公認会計士や税理士によるサポートが不可欠である。基幹業務アプリケーションの機能が単純にネット経由で提供されるだけでは不十分であり,公認会計士/税理士のサポートを考慮したビジネスモデルの構築が欠かせないだろう。

表●年商規模別,業種別に見たSaaSの利用を検討しているアプリケーション(単位:%)
表●年商規模別,業種別に見たSaaSの利用を検討しているアプリケーション(単位:%)
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 このほか,比較的規模の大きい中堅Hクラス(年商300億~500億円)や中堅Mクラス(年商100億~300億円)では,人事/給与アプリケーションのSaaS利用も期待されている。従業員数が多いこれらのクラスの企業では,人事/給与業務を自社内でこなすよりもアウトソースしてしまう方がコスト面で有利となる。BPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)の観点から社外の人事/給与サービスを利用する中堅Hクラスや中堅Mクラスの企業も出てきており,SaaSの利用もその流れに位置付けられる。