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調査内容 IT関連キーワードの認知度・業務への影響・利用状況
調査時期 2008年8月中旬~下旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 2780件(1157件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスでは,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,最新あるいは注目のIT関連キーワードを毎月三つずつ挙げて,その認知度,業務への影響と利用の状況について聞いている。2008年8月の調査では,「ホット・マイグレーション(仮想化技術の一種の名称として)」「LTO(Linear Tape-Open)」「非機能要件(の定義を明確にすること)」の3つのキーワードを取り上げた。

「ホット・マイグレーション」は「聞いたことがない」65%

 「ホット・マイグレーション」はサーバー仮想化関連の新技術の一つ。あるホスト(物理マシン)上で実行中の仮想マシンを,稼働状態のまま別のホストに移動する機能だ。物理的なハードを二重化して障害時に瞬時に予備機へ切り替える「ホット・スタンバイ」と同様の能力を,仮想マシンの間で実現する。「ホット・スタンバイ」と同様,稼働中の本番系のメモリー内容を待機系に即座にコピー可能にしておくなど,高度な仕組みが要求される。

 障害対策のほか,ハードの増強や交換,稼働中の負荷の再配分などにも,「ホット・マイグレーション」が可能な仮想化環境か否かで,大きく差が付く。仮想化関連の基盤ソフトや管理ツールの主要ベンダーが開発を急いでいるが,この機能を実現している製品は米VMwareのVMotion(2003年末出荷)やオープンソースの仮想化ソフトXenのLive migration(2006年中頃出荷)など,まだ数少ない。

 今回2008年8月調査のキーワードとして「ホット・マイグレーション(仮想化技術の一種の名称として)」を提示した結果は,同じく仮想化技術関連のキーワードとして前回2008年7月調査に提示した「プロビジョニング」とよく似たものになった。本調査で今回も含めこれまでに提示した72種のキーワードの中で,「ホット・マイグレーション」の認知度スコアは1.61で,72種中7番目の低さ(72種平均は2.23)。「プロビジョニング」の1.58のすぐ上という順位だ。「聞いたことがない」が64.8%(72種中10位)で「プロビジョニング」の68.6%よりやや少なく,「聞いたことがある」が「プロビジョニング」の21.5%より約5ポイント高い(26.2%)。

 「聞いたことがない」とした回答者を除いて集計した“業務への影響度”では,「ホット・マイグレーション」が「プロビジョニング」を上回り,スコア換算で2.81対2.69(72種平均は2.91)。「ホット・マイグレーション」に「将来かかわる可能性がある」とした63.9%は,72種のキーワード中3番目に高い値(2006年9月調査の「モバイルセントレックス」(69.4%)と「Web2.0」(66.9%)に次ぐ)である。

 しかし,同じく「聞いたことがない」とした回答者を除いた“応用/利用状況”では,「ホット・マイグレーション」と「プロビジョニング」はほぼ同スコア(1.42対1.49。72種平均は1.65)。ともに「具体化していない」が約8割を占めた。「プロビジョニング」では「全社的に運用」「一部で運用」「一部で試験運用」が合計14.7%,今回の「ホット・マイグレーション」では11.3%。「導入を計画」を加えると「ホット・マイグレーション」と「プロビジョニング」はともに19%台(19.9%,19.3%)だ。1年半前に調査した「仮想化ソフト」(2007年2月調査)は,「全社的に運用」~「一部で試験運用」の合計が20.8%,「導入を計画」を加えると36.5%だった。

オープン系サーバー用テープの標準「LTO」は49.7%が運用中

 2000年に最初の製品が登場した「LTO(Linear Tape-Open)」は,約8年でオープン系サーバーのバックアップ用テープの規格の主流となった。2007年からは1巻あたり容量800GB(非圧縮時)の第4世代規格「LTO-4」の製品が出回っている。かつてのメインフレーム用1/2インチ・カートリッジ磁気テープ規格(IBM 3480など)と同じく,12.65mm幅の磁気テープ1リールを約10cm角のカートリッジに収めた「LTO Ultrium」規格のテープは,コンピューター・ルームではおなじみのものだ。

 意外にも「LTO」の認知度スコアは1.98で72種平均(2.23)を下回った。「業務に通用する知識がある」の5.6%がほぼ72種平均(5.7%)並みだが,「ある程度理解している」が平均(24.4%)より5.6ポイント低く,「聞いたことがある」も平均(26.6%)を約8ポイント下回った。

 しかし「聞いたことがない」とした回答者を除く“業務への影響度”では,「LTO」の影響度スコア3.44は72種中6番目に高い。「自分の業務とかかわる」の44.6%は,「日本版SOX法」(60.5%,2006年9月調査),「Windows Vista」(47.3%,2006年11月調査),「SLA」(45.1%,2007年7月調査)に次ぐ4番目の高率だ。

 “応用/利用状況”では,「LTO」のスコア2.66は72種のトップに立った。長らく応用/利用状況スコアのトップだった,2006年10月調査の「KM(ナレッジ・マネジメント)」の2.37が,ついに2番目に後退したことになる。「全社的に運用」の13.9%は,2007年12月調査の「ERP(統合業務パッケージ)」の15.6%に次ぐ72種中2番目,「一部で運用」の34.7%は「SLA」の21.2%に大差を付けて72種中最大値をマークした。「全社的に運用」「一部で運用」「一部で試験運用」の合計値49.7%も,「SLA」の41.6%,「KM」の41.3%を大きく上回り,ダントツの高さである。

信頼性やセキュリティなどの「非機能要件」は4割近くが「自分の業務とかかわる」

 システムの要求仕様定義では,ユーザーの意識はどうしても機能の要件にばかり向きがちだ。しかし性能や信頼性,拡張性,セキュリティなど,機能要件以外の「非機能要件」も,要求仕様定義で明確にしておかなければならない重要な側面である。

 従来「非機能要件」はそれ自体に「機能要件以外のすべての要素」というような曖昧な定義しかなく,どんな項目について,どんな尺度で規定すべきか,体系化が遅れていた。2008年になってようやく,NTTデータや富士通,NEC,日立製作所など主要ベンダー/インテグレータが「システム基盤の発注者要求を見える化する非機能要求グレード検討会」を発足させたり,日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が「非機能要求仕様定義ガイドライン」を策定(システム特性として測定可能な指標230項目を定義)するなど,具体的な解が見えはじめたところである。

 今回2008年8月調査のキーワードとしては,「非機能要件(の定義を明確にすること)」という形で回答を求めた。認知度スコアは1.81で,72種平均(2.23)を大きく下回った。「聞いたことがない」の61.2%は72種中15番目で2008年4月調査の「クラウド・コンピューティング」と同率。ただし「クラウド…」の「業務に通用する知識がある」が0.5%(72種中70番目)だったのに対し,「非機能要件」の「業務に通用する知識がある」は3.8%(72種中46番目)で若干高かった。

 「聞いたことがない」とした回答者を除く“業務への影響度”では,「非機能要件」はスコア3.48で,上記の「LTO」を上回り,72種のキーワード中5番目の高さ。「自分の業務とかかわる」の37.5%は72種中6位。「自分の業務に関係ない」の少なさも特徴で,13.6%は72種中低い方から6番目だった。

 “応用/利用状況”でも,「非機能要件」のスコア1.83は平均を上回り,72種中20番目。「一部で運用」の16.1%は72種中12番目の高さ(72種平均は9.0%)で,「全社的に運用」の5.0%も72種平均の4.5%を上回った。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,IT関連の最近のキーワードの認知度,自身の業務への影響をどう見ているか,回答者の所属組織での利用状況を聞いた。
 「認知度」は四択の質問で「業務に通用する十分な知識がある」を5,「内容をある程度理解している」を3.67,「名前だけは聞いたことがある」を2.33,「聞いたことがない」を1点にスコア換算した。
 同様に「業務への影響」は三択で「自分の業務と深い関わりがある」を5,「今は関わりがないが,将来関係するかもしれない」を3,「自分の業務には関係ない」を1点に換算。
 「応用/利用状況」は五択で「全社的に運用されている」を5,「一部の部門,業務で運用されている」を4,「一部の部門,業務で試験的に運用されている」を3,「導入を計画している」を2,「導入/利用計画はまだ具体化していない」を1点に換算した。なお,認知度で「聞いたことがない」とした回答者の「業務への影響」と「応用/利用状況」への回答は無効として集計から除外している。
 調査実施時期は2008年8月中旬~下旬,調査全体の有効回答は2780件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1157件。

図1●情報システム担当者の最新キーワードの認知度・業務への影響・利用状況
図1●情報システム担当者の最新キーワードの認知度・業務への影響・利用状況

図2-1●情報システム担当者の最新キーワードの認知度
図2-1●情報システム担当者の最新キーワードの認知度

図2-2●情報システム担当者の最新キーワードの業務への影響
図2-2●情報システム担当者の最新キーワードの業務への影響

図2-3●情報システム担当者の最新キーワードの利用状況
図2-3●情報システム担当者の最新キーワードの利用状況